夏の推理小説部合宿・徘徊する殺人機篇part11 “送り込まれた物„
「神代...先輩ッッッ!!」
先程まで部屋に居なかった斬月がいきなり部屋に飛び込んできた。
それも、ケガを負って。服が赤に染まっていて、斬月は左腕で
右腕を支えてこちらに倒れ込んでくる。
「ど、どうしたんだッ?斬月!?」
咄嗟に言葉が出る。
「廊下に変な機械が...あって...その機械には武器が積んであり、
一言で言うならばあれは殺戮ロボット。おそらく...」
「ああ。五十嵐の野郎だな。知ってるよ」
「ええ。多分」
「それよりっ、斬月君はっ!斬月君は大丈夫なの?病院とか行かないと、
救急車とか呼ばないとっ!?」
「そうだよ、水篶ちゃんの言う通りだよっ睦月くんっ!?」
それに秋葉も重ねて言ってくる。
「お前ら、少し落ち着いて聞いてくれ。今、廊下に殺戮ロボット...
つまり殺人鬼、殺人機が居るんだよ。それも斬月を見たら分かるだろ。
信じてくれるかは水篶、秋葉次第だが」
「そんな...でも何で...」
「そんなの信じられる訳...」
水篶と秋葉はまだ信じようとしない。
「あのロボットを仕込んだのは五十嵐という政府の研究機関の奴で
俺達を狙ってるんだ。名前の最後に月が付く者を。
水篶、水篶なら分かるだろ?俺がこれまで巻き込まれている事を
考えて見れば...。全て巻き込まれている事と共通していることが
多いだろ...?」
「うん...確かに...。分かった」
「確かに睦月くんはいつもそれで守ってくれるし...」
「あぁ。だから今回もいつもの様に守ってやるんだよ?」
よしこれでパニックは避けられるな。
「よし、斬月。その機械、殺人機の特徴について教えてくれ」
「特徴...ですか...。そうですね...まずは武装ですが重火器類は無く、
剣が付いています。大きさは腰の高さ位で履帯機動。
弱点らしき所は分からないですが、白っぽい色の塗装?でしたかね」
なるほど。だが白い塗装じゃなくておそらく月の石だろうな。
となるとこのしませんかせんせーから受け取ったものの出番だな。
「他にはあるか?」
「あとは凄く音に敏感で走った所にすぐに駆けつけて来ました。
そしてその殺人機は1台ではなく2台でした」
音か...。この建物の造りは真ん中に階段がある為、
廊下は階段を囲むようになっている為2台の設置は効果的。
さてどうしようか...。この状況から脱出するには。
音か...。俺は頭を抱え、皆がこちらを見つめる中、
不可能を可能にするべく考える。