夏の推理小説部合宿・徘徊する殺人機篇part10 “文月みたいに„
「睦月くーんっ!!一緒に遊ぼうよぉ!」
浅瀬で秋葉と水を掛け合い遊んでいた水篶がパラソルの下で
山吹さんとのんびりしている俺に言ってくる。
「暑いから!俺はいいや」
と俺も叫び返す。すると水篶と秋葉がこちらに走ってくる。
「はぁ...これだから睦月くんは。ほら行くよ?秋葉ちゃんも何か言いなよ」
「睦月くん...早く行くよ?さもないと...文月みたいにするよ?」
文月みたいにするというには浜辺に埋められるということだ。
それは、勘弁願いたい。
「わ、分かった。行くから手を離してくれ」
秋葉は俺の左手、水篶は俺の右手を掴んでいたのだ。...逃げない様に。
「じゃあ行くよ。ほら立って?」
俺は涼しかったパラソルを離れ、浅瀬に入る。
「ほら睦月くん...冷たくて気持ち良いでしょ?」
「ああ、そうだな水篶」
「とりゃぁ!!」
いきなり秋葉が水を凄い勢いで俺に掛けてくる。
「グッ...。オマエェ。よくも。ほら仕返しだっ」
俺も秋葉に水をかけ返す。
「2人だけでやるくらいならわ、わたしだって」
そこに水篶も参戦。
「先輩、援護しますよ」
遠泳に出掛けていた筈の斬月も水中から出現。
「...えーい」
浜辺で砂浜に埋められている文月に山吹さんが水鉄砲で
楽しそうに撃っている。
「おいおい、令月っちゃ、ん。や、やめ」
文月そんな事を言っていたがこちらの水の掛け合いが終わるまで
水鉄砲が止まることもなかった。
そして日も暮れて海に入ってべとべとになった俺達は
(文月に関しては顔がべとべと、あとは砂まみれな悲惨な状況)
また、露天風呂に入りにやって来た。
今日は昨日と違い、月が出ていた。満月だ。
塀を挟んだ隣から水篶や秋葉、山吹さん、皐月の声が聞こえてくる。
「ねぇ、水篶ちゃんって好きな人とか居ないの?」
「いっ、いきなりなにを言い出すの?秋葉ちゃん」
「聞かれそうだから始めに言うけど..........わたしは断じて居ないから」
始めは山吹さんが答えた様だ。
「ねぇねぇ秋葉ねえちゃんに水篶ねえちゃん、2人とも顔が凄い赤いけど
わたしは2人の好きな人、知ってるよ」
「んなっ...皐月ちゃん...言うのは酷いよぉ...」
「言ったら...ダメだよ?じゃないとバカ文月みたいにするよ?」
どうやら2人には好きな人が居るようだな。
まぁ俺には関係ない事だろう。そろそろのぼせてきそうだったので
俺は風呂場から出た。
そして自分に用意された部屋でくつろいでいると斬月以外の皆が
俺の部屋に集まってきた。秋葉と水篶が「ここが...睦月くんの部屋か」と
2人揃って言っていたが俺は斬月が居ないのが気になり
「斬月はどうしたんだ?」と文月に聞いてみたところ斬月はどうやら
外で風に当たっているらしい。俺も風に当たってこようかと立ち上がり、
ドアへと向かい、ドアノブに手をかけた.................その時だった。