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脱出不可能  作者: 風雷寺悠真
第1章ファーズランド攻略篇
11/250

“脱出 The escape complete„

2015/5/26(火)改稿。

2015/12/24(木)再改稿。

 後ろに飛んで行ってしまった筈のフリースクが前に転がっている。こんな事が起こりうる方法はただ1つしか浮かばない。


 そう、それは床がほんの少し傾いているとしか考えられないということ。それも人間が気づかないほどの絶妙な角度で、だ。


 それに感づいた俺は床に面しているものを片っ端から確認し始める。床に面して設置されているものは、本棚、部屋の中心に設置された机、模造刀の横に設置された机の三つのみだ。


 俺は着眼点をその三つへと絞り込み、一つずつくまなく調べてみるとある事に気が付いた。それは、部屋の中心に設置された机と模造刀の横に設置されている机の違いだ。


 この二つの机は一番下の引き出しの底面が床に面しているタイプであり、そのまま引いて開けようとしても鍵が掛かっていた。だが実際問題、そのまま引いて開けれる様に作られているのは模造刀の横に設置されている机のみであり、部屋の中心に設置された机は違った。


 部屋の中心に設置された机はそのまま引いて開けようとしても開きようがない作りで、シャッターのように下から上へと引き上げなければ開きそうにない、そういう仕掛けになっていたのだ。下に僅かだが隙間が出来ているのも確認できた。やはり間違えないだろう。


 こんなもの、普通ならば気付くはずがない。

俺はここが脱出口なのではないかと推測する。


 だがここが脱出口なのだとしても鍵はこの部屋には見当たらなかった。

その為どうあがいても開きそうはない。開ける手段は生憎思いつかない。


その時、部屋の中をふらふらと見回っていた水篶が呟いた。


「この本棚、しっかりとした造りだなぁ……。後ろに鉄板が固定されてる……」


 特に必要ない情報だと一瞬思ったのだが俺はまさにそれを利用すれば良いのだと思い、「それだ……ッ」と声にした。残りあと三分。やるしかない。


水篶みすず……ッ! その本棚に固定されている鉄板を机の上に置いてあったドライバーを使って取り外してッ! 早く……ッ!」


 そう指示すると、水篶みすずはすぐに鉄板を取り外して持ってきてくれた。俺は模造刀を手に取ると、鞘から刀を抜く。


 そして刃が付いていないにも関わらず、俺はあわてながらも力いっぱい、リラックスして鉄板めがけて刀を振り下ろした。


 するとどうだろう、鉄板に差し掛かった模造刀はスッと鉄板に入り込み何故か綺麗さっぱりと真っ二つに切り落とされた。


 「これは……」俺の一言に続けて水篶みすずが言う。


 「鉄板が……切れた?」

 そうだ。水篶みすずの言う通り鉄板は切れたのだ。


 「これを…俺が……?」

 刃がない刀では物を切ることは出来ないはずなのだがなぜか

俺には切ることが出来た。そして切った時、俺は何かを感じた。


 「睦月君ッ、もう時間がないよ……!」

 だがタイマーを見やるともう終了時間が迫ってきていた。なぜ切れたかは今の俺では分からない。とりあえず頂いたこの機会は逃すわけには行かない。


 俺は鉄板に力を込めて、少し曲げると迷わず机の引き出しにある隙間に鉄板を差し込んだ。そして少し曲げた方を勢いよく踏むと引き出しは凄まじい音を立てて引き上がる。これはまさにテコの原理を利用したわけだ。


 どうやら俺の推測は当たりだったようで、中を覗いてみると滑り台のようになっているのが伺えた。俺は水篶を連れ、迷わず滑り降り、この部屋を後にした。


 そしてしばらく滑り台を降りているとゴールにたどり着いた。

そのゴール部屋にあったのはモニター、ただ1つだけ。


 出口のようなものは見当たらない。


 しばらく立ち往生しているとモニターの画面からある男、

赤い長髪の男が姿を表した。


 俺はこの男を知っている……。


 現れた男、それは長門嘉月だった。この脱出不可能の創造主。

長門嘉月はモニター越しにこう言った。


「クリアおめでとう。君達には褒美をやらなくてはな。その褒美とは、これからの脱出不可能シリーズに挑む権利だ。この脱出不可能は才能という能力のある者にしか挑む権利はない脱出ゲームだ。おめでとう。神代睦、月くん」と。


 するとさっきまでは無かったドアが現れる。

そのドアを出るとそこは入ってきた受付にある入口と出口の出口の通路だった。


 隠し通路だったのか?それは分からない。

 

 だがそれより俺は解せない事があった。


 それは、長門嘉月がなぜか俺の名前にある「月」という単語を強調したことだ。それと、脱出不可能シリーズに挑む権利とは何なのか。


 それは今の俺には分からない。解せない事が山積みだったが、

水篶がクリアをしたからかハイテンションで

 

「クリアやったね! これで観覧車乗れるね♪」と言ったので

その事を一旦忘れることにして観覧車に乗り、余った時間を楽しんだ。


 その後水篶と別れ、ファーズランドを後にした。

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