決断(康紀)
鷹明の屋敷に呼ばれた。
そこには友親も一緒ではないか。二人の顔を見ると真剣な面持ちをしている。
俺は部屋に入るなり「康紀の本当の気持ちを聞かせて欲しい。」と二人に言われた。
「康紀、おまえ、本気で咲子殿の事を愛しているのだな?」
「オレからも問う。おまえの本当の気持ちが聞きたい!」
「もちろんだ!咲子殿を愛する気持ちは変わらない!」俺は強い意志で答えた。
それから、鷹明から思いもかけない事を言われた。
「ところで、咲子殿には手紙を送り続けているのか?」
「ああ。だけど、咲子殿の手に渡っているのかが分からん。なんせ返事がない。その事も不安なのだ。」
「康紀、それは心配には及ばん。咲子殿に渡っている。」
「何故、そのような事が分かる?鷹明」
「令を使っているからな。確かだ。だが、そこに書かれている内容は知らんが。」
俺は鷹明が何を言っているのかは最初は理解出来なかった。
そうか、令が運んでいるのか。と思うと安心した。令なら決して誰とも出会わないように咲子殿に直接渡すことが出来る。今、鷹明のことがこれほど有り難いと思ったことはない。
今まで黙って聞いていた友親は「康紀、人生で一番決断する時がきているぞ。」とニヤっと笑っている。
「それに、俺達も協力するぞ。」と彼らは真剣な顔つき。
いったい、お前たちは何を企んでいる?
そして、鷹明から衝撃な話しが出た。
何故、あそこ(寺詣で)で大納言殿と咲子殿がおられたのか真相を言う。
「咲子殿が左大臣の息子、孝由殿に嫁がれる?」
「そうだ、日取りは2ヵ月後。そして、おまえは如何したいのか?」
今の俺には如何する事も出来ない。ただ、咲子殿が嫁がれるのを黙って見ているだけなのか!
あの、孝由殿の下に。
しばらくの沈黙のあと、鷹明と友親は恐ろしい事を言い出した。
「嫁ぐ前に攫え」と。
そんな恐ろしい事は俺には出来ない。それに、咲子殿のことを考えると・・・・・・
はたして、咲子殿の気持ちはどうなのか?俺の事を必要としているのかが分からない。
それに俺の気持ちを一方的に押し付けているのではないのだろうか?
・・・・・もしかしたら咲子殿は・・・・孝由殿を選ばれるかもしれない・・・・・・
俺は鷹明と友親に問う。
すると彼らは笑いながら「咲子殿はおまえと出会った時からずっとおまえの事ばかり思われておる。
ここでおまえが攫わなかったら孝由殿の所へ嫁がされることになるぞ。どうするのだ!」
俺は耳を疑った!
「信じられない!」咲子殿が俺の事ばかり思われているとは、なんと幸せなことか!
今、ここで孝由殿に奪われては俺は一生後悔する。
「よし、決心したぞ。鷹明、友親!俺は咲子殿を奪う!」
鷹明と友親と俺は咲子殿を攫う計画を立てた。
あとは実行のみ。
やっと、決心した康紀くん。でもこれから先、前途多難になるのかな?この方の性格だと。男らしく行けばいいのに。
康紀くんのクソ真面目な性格の一場面でした。