決戦 2
康紀側
今宵、1時に決行!
もう、ここまで来たら後へは戻れぬ!
俺は今、恐怖心はない!
午前1時に鷹明に指定された所へこれから行く。
先日、鷹明から言われた「何が起ろうとも。」の意味はどう言う意味か?気になる。
そして、今更じたばたしても仕方がない!
男なら「やるしかない!」
俺は康紀の事が気になって今、彼の屋敷に来ている。
鷹明は今頃、令に指示をだしているだろう。
康紀はと言うと、わりに落ち着いている。
何日か前に見た康紀ではない!顔付きも違って見える。心は決まったのだな!
それにしても思う。何事に置いても消極的なコイツが一人の女にこれほど入れ込み、人生を賭ける戦いに挑もうとしている。
人間っていうのは「いざ!」と言う時は何でも出来るものだな。
俺はお前を見直すぞ。
そろそろ鷹明から知らせが入る頃。
俺は忙しい。
康紀、友親は俺の知らせを首を長くして待っているであろう。
令は上手く指令を出してくれた。百鬼の事は総て思うように事が運んでいる。
俺はやるべき事はやった!
あとは咲子殿にかかっている。多分、大丈夫だろう。
俺は時々考える。咲子殿・・・・・本当にこの世の者か
俺は皆と合流。それぞれに指示を出す。
康紀は鬼が浮遊している羅生門に配置。
友親と俺は咲子殿の屋敷。例のところで百鬼を待つ!
さあ、これからだ!
百鬼が来るぞ・・・・・
咲子側
そろそろ午前1時。
わたくしと加茂は今、あの角を目指おります。
加茂は怖がって私の後ろ。時折、ヒィー、ワァーとか言って歩く足が止まってしまいます。
わたくしは加茂を気遣いながら「大丈夫ですよ。加茂」と声をかけて励ます?みたいに。
庭の角(隅)まで来ると、壁の向こう側で鷹明さまが「咲子殿ですか?お迎えに上がりました。今、百鬼がこちらにやって来ます。心してお待ちを。」
「分かりました。有り難うございます。ところで、康紀さまはご一緒でございますか?」
「いいえ。康紀には違う場所であなた様をお待ちです。ご心配なさらず。」
康紀さまは別のところでわたくしを待っていらっしゃるのですね。
もう、ここまで来たら後には引けません。「女は度胸」でございます。
壁のほうから何やら明るい物が見えました。
きっと、百鬼でございましょう。
「いいですか!加茂。行きますよ!」
わたくし達の目の前の壁の角が少しずつ穴が開いていきます。
百鬼の姿が見え隠れして。そして、わたくし達がくぐり抜けるほどの穴が開きました。
穴の向こうに見えているのは、きっと、わたくし達が乗るのでしょう。「火車」が準備されています。御所車のような物に火が点いているのです。
言うなれば「車が燃えている」ような感じと申しましょうか。
それを見た加茂は、動けなくなっています。「腰が抜けた」と申すものだと思います。
わたくしはグズグズしてはおられません。加茂の手を引っ張って燃えている車に飛び乗りました。
その時、わたくしが羽織っていた内掛けが邪魔になり脱ぎ捨てます。とっさの行動だったと思います。
火の車は乗っていても全然熱くありません。乗り心地も前世で言うと「新幹線」のような物でしょうか。静かでございます。そして、ゆったりして、なかなかの乗り心地です。
今までの車は・・・・・酷いと思います。
加茂はというと、今にも死にそうな顔で眼を瞑っております。
「加茂。加茂。もう大丈夫ですよ。眼を開けなさい。」と笑顔で話しかけましたところ、加茂は「・・・・」何も話しません。ただ、一言「咲子様ですか?」と。
加茂の異常な気配にわたくしの方が驚いて「どうしたのですか?加茂」
決戦は少し長くなります。
お付き合いを。お願い致します。(康紀&咲子)