決行(咲子) 2
さぁ、始めましょう!
楓さまは、わたくしの事をチラチラと顔を覗くように見ておられます。
多分、驚かれたのでしょう。わたくしの演技をしているような様子を見て。
マズイ事でございます。どうか、楓さまがわたくしのことを「か弱きお姫様」と見て下さいますように。
そして、楓さまは御自分の事を話されました。
楓さまは康紀さまと仲の良いお友達の一人、友親さまの恋人。
そして、楓さまは貴族のお姫さまのような大人しい方では無く、かなり大胆な方だと理解致しました。
わたくしなりに。それにかなりのロマンチスト。
きっと、わたくしと楓さまは良いお友達になれると思います。
そして、本題に入ります。
「咲子さま、これを預かって参りました。お納め下さいませ。」と楓さまは手紙を出され、その手紙を
わたくしに手渡されました。
でも、今までの手紙とは違い少し分厚い紙のようでございます。
その手紙を見ましたところ、まぁ、なんて事でしょう!「絵」が描いてあるのでございます。
でも、その絵には何か訳ありのような気が致します。
そして、わたくしは興味も手伝って、ずっと見つめていました。
すると・・・・この絵に描いてあったのは「百鬼夜行」ではありませんか!
それに、わたくしの屋敷の庭の一番遠い角(隅)にあたるところに百鬼が重なるようして描いてあるのです。わたくしはその意味が分かりました。
わたくしを攫うのはこの「百鬼」なのですね。思わず笑いが込み上げてきます。
「分かりましたわ。とお伝え下さいませ。必ず、ここへ伺いたく存じます。」
楓さまが帰られた後、訳の分からぬ加茂に先ほどの絵を見せました。
すると加茂は「・・・・・咲子様、この絵は・・・百鬼でございますか。・・・」声も出ない加茂。
そして、わたくしはその絵の意味を教えてあげました。
「咲子さま・・・この鬼達は怖くはないのでございますか?」と加茂は不思議そうに問います。
わたくしは「怖くないわ。」と言えばいくら加茂でも不思議がるでしょう。
逆に、わたくし自身を怖がります。
だから「怖いです。恐ろしいです。」と申しました。
加茂は急に涙声で「お可哀そうです。咲子様。」とオイオイ泣いています。
でも、わたくしは知っているのです。「架空」だと言う事を。
このことは誰にも言えません。わたくしの心の中に閉じ込めてしまいます。
これからですわ!忙しくなるのは。
康紀さま、いつでも宜しいですわ。お待ちしております。
わたくしは心の準備は出来ております。
ここまでが長かったですわね。
さぁ、これからが勝負ですわね。(咲子)