決行(康紀) 1
「ところで、康紀、何か良い案は浮かんだか?」
彼らに聞かれたが名案は浮かばない。
「鷹明、友親はどうだ?何か案はあるのか?」と問うても皆、ないようだ。
咲子殿は屋敷の奥に住まわれている。一度、お顔が見たいものだ。そして姿が拝見できぬものか?
「咲子殿は屋敷の奥に住まわれていると言っても庭は歩かれるだろう。」
俺は一人事のようにつぶやいたていたのを鷹明が聞いていた。
「だけども、咲子殿の歩かれる時間は知っているのか?」
「知らん!」
これでは、まったく話しにならん!と友親に笑われた。
「だが、令を使えば何とかなるのでは?」と鷹明は考える。
令は鳥に変形して咲子殿の部屋の近くの木々で見張り、咲子殿がいつ歩かれるのかを知る。というのはどうか?と鷹明からの提案。
友親はというと、良い案はなし。
まずはその提案で咲子殿の様子を見ることにしよう。
鷹明の妖で咲子殿の庭の木々に降りている令。
どのくらい時間が過ぎただろう。
令が戻ってきた。
この度は友親の屋敷で計画を練る。
令の話しだと、咲子殿は日が明ける時(6時)と夕方(4時頃)に庭を歩かれる。
そして思いも寄らぬ時間。それは夜中。咲子殿は夜空を眺めて何かつぶやいておられるそうだ。
だが、どのようして咲子殿を呼び出す?屋敷の周りは塀に囲まれている。
咲子殿が信頼を寄せている女房がいる。と聞いている。
この者に頼めば呼び出してもらえないものか?
だが「我々との接点は?」と思案に暮れていると友親が良い案があると言ってくれた。
「俺の恋人である楓を使おう。楓は・・・・・なんというか、このような事柄に憧れてを持っている。
上手く同情を引けば必ずやり遂げてくれるはず。そんな気がする。」
俺も鷹明も驚いてとも親を見た。友親の恋人まで使って良いものか?
それから何日後、友親から嬉しい知らせを受ける。
彼の恋人が「喜んで、お手伝いをさせて頂きます。」との事。
早速、楓殿に伝えた。楓殿に頼んだ事柄は「咲子殿に直接、手紙を渡す事。この計画がばれぬように頑張られる事。そして最も重要なのは普段と変わらず、お過ごしになられる事。」この三つ。
万が一、手紙が誰かに見つかっても内容が分からぬように「絵」描いた。
楓殿は咲子殿の女房加茂殿の従妹の娘になって頂く。
もう、これ以上の計画はないだろう!上手く事が運ぶはずだ。
楓殿には上手くやり遂げて頂かなくては。楓殿、お願い申し上げる。
計画が本格的になってきた。
それにしても・・・・少しだけだが俺も康紀に憧れる。(友親)