決行前。
決行する期間は二ヶ月以内!
俺たちは思案に思案を重ねたが良い案は浮かばない。
今は咲子殿との連絡は令が取ってくれている。
そして重大な問題はあの権大納言ただ一人。
大納言殿は俺と咲子殿が偶然にも出会ったことが余程、気になるようだ。
大納言殿が俺を見る目が何かを感じとっているようにも思う。考え過ぎなのか?
宮中内ではお互い普段と変わらないようにしているが。
ここ一番、出会いたくない方に出会ってしまった。
「これは暁殿、お元気でおられますか?」
「有り難き、幸せにて存じます。私も変わらず元気に致しております。・・・・はて、権大納言様、如何されました?この私が大納言様とお目にかかれるとは幸運でございます。それに、お声までかけて下さるとは・・・なんと勿体無い事でございましょう。」
「・・・・・いや、偶然だ。ここで出会ったものも何かの縁。」
「ところで、大納言様、あなた様のお姫様がこの度お慶びがあるとお聞きいたしました。
まことにおめでとうございます。」
「いや、なに・・・・あなたの耳にも入っていましたか。ハハハハ・・・・では暁殿」
まったくいやなお方だ。
まさか、俺と咲子殿の事を感ずかれたのではないか?
すぐにでも彼らと会わなければ。
康紀の話しを聞いていた鷹明と友親は静かに目を閉じて何やら考えている様子。
「この前、大納言殿が俺のところに来た。偶然を装ってな。」
「俺のところにも来たぞ。」
その話しを聞いて俺のところだけではないのだという事が分かった。
「大納言は何か感ずいているのか?」
何故、俺たちのところへ来るのか?
大納言サイド
あの者達の事は分かったのか?
「はい。桐 鷹明と申す者は上級貴族でございます。冷静な判断で物事を進め、皆から信頼を置かれております。まだ北の方もおらず。また、浮ついた噂を聞いた事がございません。
ですが、なかなかの切れ者という噂でございます。
藤 友親殿も桐殿と同様。上級貴族でございます。
藤殿は見た目もあのように美男である故、浮ついた話しばかりでございます。
それに、北の方も持っておらず宮中の中においても女房たちの噂の的でございます。
まぁ、この者は思い切った事な無理かと。
あなた様が一番お聞きなさりたかった暁 康紀殿でございますが、いたって普通。これといった噂を聞きません。確かに上級貴族ではありますが。真面目で人一倍の努力家。この三人の中でも一番大人しいと聞きます。暁殿に関しては大納言様がお気になさらずとも良いかと存じ上げますが。」
それを聞いて安心した。
「だが、暁の目は私に挑戦的にも思えたが。考え過ぎか?」
ある一人の同僚が言う。「康紀、お前たち三人の事を聞きに来たお偉さんが来たぞ。何かやらかしたのか?三人で。」
俺は驚いた!「ばれたか?」と思わずにはいられなかった。
俺はその場で上手く誤魔化しておいた。怪しまれては危険。
それにしても急がなくては。時間が無い!
急いで鷹明、友親に同僚から聞いた話しをした。
大納言は「何か」を調べている。
気を付けなければ。
実行を移す前にいろいろな思惑があり大変だ。(友親)