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課題に追われる日々

更新は不定期です。

 俺は家に帰ると、着替えるのも面倒くさく、直ぐにリビングへと向かった。この時間帯には親はいない。共働きという訳でも無いのだが、母親が趣味やボランティア活動に精を出しているために、昼間に親が入ることはあまり無い。母親は遅いときは二十二時ぐらいに家に帰ってくるので、俺は所謂鍵っ子だった。

 冷蔵庫の隣に置いてある戸棚を開く。下の方には食器類が置いてあり、上の方には目的のインスタント食品が置いてあった。俺はそれを手にとり、蓋を開け、粉末スープを入れる。やかんに水を入れ、沸騰するまで待った。しばらくすると、ピューーーーといった甲高い音が響く。俺はそれを注ぎ込み、少し待つ。

「よし、食うか」

 麺が少し固い状態で食べるのが好きな俺はだいたい一分待たずに食べ出す。

 そんな、少し遅い昼飯をとりながら、考えることは……

(卒業したって、実感湧かねえ)

 といった物だった。皐月の所為で普段とあまり変わりのない下校をした俺には、午前授業で明日から春休み、ぐらいの感覚しか無かった。

(まあ、皐月から告白まがいな事は言われたけどな)

 皐月が俺に対して好意を抱いてることは、何となくだが分かっていた。まあ今の中学よりも高校は速めに出ないと行けないから、一緒にいる機会は今よりも少なくなるだろう。そのような事を考えてるうちに、飯を食い終わっていた。俺は軽く片付けた後、自分の部屋に行った。制服を着替え、布団の上でボーっとしていた。が、いつの間にかに俺の意識は飛んでいってしまった。




 俺が目を醒ましたときには辺りは暗くなっており、部屋の中も薄暗くなっていた。

「どうやら、寝ちまったみたいだな」

 俺は起き上がり、部屋の電気を付けた。その光でも、眩しく感じていたが、机の上に目がいったときは、驚いて目を大きく開いてしまった。そこには、プリントの山が出来ていた。

「何だよ、こりゃ?」

 俺はそのプリントの山に近づいて行く。そして、近づかないで見て見ぬ振りを決め込むべきだったと反省した。何故ならば、そこには、数学、英単語、漢字と書かれていた。そして、何よりも嫌なことが、『春休みの課題・一年生用・入学式当日、担任によって回収されます』と書かれていたのだ。

「俺の……俺の春休みがーーー!」

 この、衝撃的事実の所為で、俺としたことが、叫んでしまった。問題をパラパラ捲ってみると、簡単な問題がずらーっと並んでいた。

「こ……これは、何の嫌がらせだ……」

 せっかく、春休みモードに入りかけたところを出鼻を挫かれてしまった。

「この量じゃ一夜漬け、とはいかないか……はぁ、今からやるしかないのかね……」

 そうぼやき俺はササッと終わらせるべく課題に取り掛かった。気づくと親が帰ってきており夕食を食べた。結局、今日は夜中までやったと言うのにも関わらず、まだまだ全体的に見れば長い道のりだった。

(明日は早く起きて始めるかな)

 俺はそんなことを考えながら眠りに着いた。




 目覚めは最高に良かった。脳が直ぐに覚醒し、二度寝をする気にもならないほどだった。時計を見ると五時四十二分を指していた。

「まさか、こんなに早く起きるとはね」

 そう、目覚しい時計が鳴るまで、後一時間近くあるのだ。昨日の苦労を思い出し、早速俺は課題へ取り掛かった。朝食をとった後にメールが来ていることに気づいた。

(誰からだ? って決まってるか)

 俺は携帯を開き確認する。やっぱり皐月か。なになに?


『ねぇ、飛鳥。今日予定空いてる? 空いてるなら一緒に遊びに行かない?』

 

 といった内容のメールだった。遊びたいのは山々なんだけどなぁ……。俺はいまだ机の上で、堂々と構えている課題を見て、大きなため息を吐く。


『悪いな、皐月。遊びたいんだが、課題が多くてちょっと無理そうだ……』

 

 結局、俺は皐月のお誘いを断って、課題を選んだ。客観的に見れば、少しぐらいいいじゃないか、と言われそうだったが、この量だとそんな生易しい事は言ってられないようなそんな気がしていた。そして、俺はまた机に向かうのだった。




 それから約二週間たった朝だ。得意の数学は早めに終わらせ、漢字の書き取りも終わらせた、今は英単語の書き取りに入っていた。そして俺は今、重大な場面に出くわしていた。俺の手が振るえ、頭の回転はありえないぐらい回転している。

「ま、まさか……」

 俺は今やっていたプリントを捲る。すると、そこにはもうプリントが存在していなかった。

「長かった……」

 そう、今、俺は春休みの課題を全て終了させたのだ。俺の予想では、もう少し時間が掛かると思っていたんだがな。流石に一日十二時間課題に時間を費やしていれば、いけるみたいだ。今にも叫びだしそうだったが、体力的にも勇気も俺には無かったので、軽くガッツポーズをした程度で済ましておいた。


 やっと、皐月に会える! その事実は俺を興奮させていた。皐月とは結局あのメールから数回程度しかやりとりをしていなかったので、寂しくもあったのだ。俺は、メールを送る。


『やっと、課題が終わった! 都合がいいなら、遊びにいこうぜ!』

 

 俺の方からメールを送ってしまうほど、結構俺も寂しかったようだ。普段は俺から遊びに誘うことなんてあまり無いからな。数十分後に返信が来た。


『お疲れ様、飛鳥! 今、暇だよ~。どこ行こっか?』


 お、ちょうど時間があったようだ。ん~、今の時期だと桜が咲き始めた頃だからな……。よし! 恋ヶ丘公園にでも誘ってみよう。


『恋ヶ原公園に行かないか? 今ならちょうど桜の季節だし、お花見でもどうかな?』


『うん、いいね! それじゃ、私はお弁当作るね。時間は何時ごろにしようか』


『今が九時半だからな……十一時ぐらいでどうだ?』


『りょーかい!』


 そんなやり取りをして、俺達は恋ヶ丘公園に行くことになった。そういや、二人で遠出ってのは久々だな。いままでは近くの公園やアミューズメントパークとかだったからな。そんなことを考えつつ俺は適当に荷物を整えた。約束の時間まではまだ少し時間あるな……。さて、何しようか……。

結局、暇になった俺は約束の一時間前に恋ヶ丘公園に到着していた。

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