到着地は
港は、貿易港のたたずまいじゃ無くて、漁港の大きくなった的な物だった。近くに市場があるらしく一輪車を押して魚を運んでいる。軍から派遣されて来た分隊員が僕たちの荷物を馬車に積み分隊長が最敬礼で「お荷物はこれだけで有りますか?」と訪ねて来た。「ああ、ご苦労。君の荷物合っているか?」僕は荷馬車の中を確認した。「間違いない。大丈夫、彼女の荷物は?」後ろから寒そうに着いて来た女のコは小さな袋を指差した。アンがその袋を分隊員に渡すと官邸に行くように指示を出した。「僕たちの馬車は、あっちだ。首相と国王に会いに行こう。」
街並みは、とても綺麗だった。田舎の街並みが新鮮でずっと窓にかぶりつきだった。「此処じゃ雪が降るのかい?」「たまに。積もる事は無いよ。山の方じゃ沢山降る。真っ白でとても綺麗だ、箒ならすぐだ。」僕は落ち着いたら見に行こうと考えながら、外を眺めていた。
官邸には国王に首相が詰めていた。政治は首相が、国の顔として国王が出て来るらしい。でかい玄関のドアの前に警備兵が居て馬車のドアを開けてくれた。「お帰りなさいませ。アン様」「ご苦労様。父は執務室か?」「はい、談話室でお待ち下さい。との事ですが、お部屋に向かわれますか?」「いや、彼と談話室で待つ。後、彼女をメイド長の所に。何かご馳走してくれるように頼んでくれ。」アンは女のコに何か話しかけると彼女は頷いた。「ミハエル、行こうか。我が家にようこそだ。」僕は内心ビビっていた。金持ちぽかったが、此処までとは!確かに脅しもドスが効く訳だ。懐の命令書を確かめ、首の魔法使いの徽章を正すとアンの後ろに着いって行った。
赤い絨毯を歩き分厚いドアを開け談話室に到着。そこには国王と首相思しき人物が居た。僕には何方が国王?てな感じ。何方も偉そう。貫禄タップリだった。「只今、戻りました。お父様。」「我が娘よ立派になったな。その貫禄じゃナカナカ嫁に行けんな」ニコニコ笑いながらアンの背中を叩いた。?アンて女だった?てっきり男でアンドレイみたいな名前だと思っていた。僕は命令書を差し出した
。「ミハエル ゾーレッツです。魔法薬医です宜しくお願いします」首相は書類に目を通すと、ニッコリ笑った。「北国にようこそ、寝ぐらを決めるとしよう。何ヶ所か候補が有るんだ。」詳しい話は陸軍の情報将校が持っているとかで暫し待たされた。「ゾーレッツさん、ようこそ。住まいの相談ですね。」赤毛を束ねたキツそうな顔の女性が現れた。僕はこの手の人は苦手だ。「候補はコレだけ有ります。」ナカナカいい間取りだ。でも、この官邸に近いところで、窓から声が聞こえそうだ。「もう少し静かな所に。何処か良いとこないですか?」赤毛がチラリと睨んだ。「警備員などの都合上仕方有りません。」いや、そこを何とか。と言えず黙っていると、地図を見せてくれた。目測で見る限り、山側に良い所はなさそうだ。海はと見て行くと、古い砦が有る。箒なら行けそうだ。「此処なんかどうですか?あまり人が訪ねて来ると勉強の邪魔なので。」赤毛が渋い顔になった。「警備の関係上勧められないです。自分の身分をわきまえてくれないと。」でも此処で折れる訳に行かない。「ソコントコ何とか。」「この砦、閉鎖されて何年もたちます。荒れていますよ。」「大丈夫、自分で確かめに行きます。」浮かない顔をした将校に強引に了解を取り付けた。