友達かな?
部屋に帰ると、まだみんな寝ていた。魔法で起床ラッパでもと考えたが、寝るトラを起こす様なもので、やめておいた。ロッカーを開け中に入った本を取り出して、ベットで読む事にする。相変わらず女のコが寝ていたが気にしない事にした。出て行って貰っても気まずい雰囲気になりそうだし。
目が疲れて、少しウトウトした時水夫が「到着は明日の午後だ、準備しておいてくれ。」と言いに来たので、とても嬉しかった。寒いので甲板に上がるで無く、またウトウトするまで本を読んで過ごした。夕食を取り、寝る仕度をして居ると、あの士官が訪ねて来た。「仲々寝心地良さそうじゃないか?お邪魔じゃ無ければ、明日の相談したいんだけど。」チョット顔が怖い。なんか気に障る事した?トボトボ付いて甲板に出た。「明日、地方議会所に行くよね、良ければ一緒に行かないか?」命令書の予定日より早く着いたので、街など散策したかったのだけど。「うーん、いいよ。でも僕の荷物多いよ。乗り切る?」軍人さんはニッコリ笑った。大丈夫、もう一台呼べば済む事さ。あと名前言って無かったね、アンだ。」「ぼくはミハエル。」「君のベットに居たの、なに?」僕は事情を説明した。「寝心地良いだろなんて冷やかしゴメンだよ。寝返りも出来なくて困ってるんだ。」「君が堕落した貴族の末っ子じゃ無かった訳だ。」クスクスと笑いながら答えた。「貧乏人の倅だと言ったはずだよ。」「みんな身分隠す時は、そーゆー理屈で来るのさ。そう言えば、助手は居ないのか?魔法薬を作るのは大変だろう。」確かに長時間鍋で煮詰めたり、色々な薬草を混ぜたりと大変だった。「代々医者とか魔法使いじゃ無いから金が無い。少しずつ貯めないと。それに最低限の保証が地方政府から出る。」アンは上を向いた。こいつは自分の身分と立場が余りにも高くなりすぎ、麻痺してしまっている。しかも、魔法薬を練成出来る人物は地方に居ない、皆すがりついて来るだろう。「分かった。僕が助手を探してやる。」「本当?有難う。あゝそうだいい酒貰ったんだ。寝酒にどう?今日は冷えるから丁度いいと思うよ。トコロで何で薬を練成出来ると思ったんだ?」「君のベットの本さ!」
部屋に帰ると、枕下から瓶を取り出した。「これさ。貰ったんどけどね、」アンが僕のベットで寝ている女のコに話しかけ少し会話をして此方を向いた。「可哀想に、親に売られたんだ。この後の運命は君にも分かるだろ?」「ああ、ダウンタウンじゃ珍しくも無いよ。僕らにはどうし様も無いよ。」アンは寝ているオバサンを起こした。「この娘さん譲って欲しい。」僕のベットで寝ている女のコを指差した。「金貨50で良いよ。」「15枚だ。この子の親に金貨3枚渡した。ここまでの送り賃こみだ。」「フン、国の犬が、吠えんじゃないよ。今から稼いでくれるのに、そんな安値じゃダメだね。」アンの眼の色が不意に変わりオバサンの喉がグウと鳴り始めた。「此処に魔法使いが、二人いる。お前さんが死んでも病死扱いさ。」オバサンは手を上げて答え、アンは術を解いた。「いいよ、好きにしな。」魔法の足輪を外す鍵を投げると代金を受け取った。「この子は忘れな。仕返しし様なんて考えない事だ。水は冷たいよ」アンは薄ら寒い笑みを浮かべて、オバさんの肩を叩いた。