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ひとみ先生の眼科診察室  作者: らな


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16/21

第16話 多田さん

「多田みどりさーん。おはようございます。」

陽子が多田さんを呼び入れた。

多田さんは72歳。

強度の近視と白内障があるが矯正視力は良好だ。

元気でせっかち。そしてピンクが大好きなのである。


日によってピンクの割合は異なるが、今日はなかなかの高比率だった。

ピンクのニット帽にピンクのシャツ、ピンクのパンツにピンクのスニーカー。


まるで林家〇ー子ね・・・。


「今日はまたピンクが多いですね。」

ひとみの言葉に多田さんはにかっと笑った。

「ピンク好きやねん。」


知ってる・・・。


ひとみは心の中で答えた。


「最近涼しくなってきましたが、汗は大丈夫ですか?」

多田さんは汗かきで、夏場は汗がドバドバ出て目に入って赤くなると毎年訴えるのだ。

汗の出る季節だけゆるい炎症止めの目薬を出している。

「汗はもう大丈夫だから炎症止めはいらんわ。」

「わかりました。今日は年に一度の緑内障の検診をしたのでこのモニター画面を見てください。」


強度近視は緑内障のリスクファクターで、多田さんもあやしい所見があり1年単位で経過観察しているのだ。

陽子が多田さん用に即席でこしらえた-10D(ジオプター)の近視のレンズを入れた検眼用の眼鏡を渡した。

多田さんは強度近視なのでモニターの細かい表示が見えないため、仮の眼鏡だ。

眼鏡をかけた多田さんは驚きの声をあげた。

「よう見える!これ欲しいわ!」


そうなのだ。多田さんは強度近視で裸眼視力は両眼とも0.07しかないのに裸眼で生活しているのだ。矯正をしっかりしたら1.0以上の視力が出るのにだ。


「多田さん。眼鏡かけた方が見やすいから眼鏡を作ったらどうですかっていつも言ってますが・・・。」

「でも、無しでも全く困ってないねん。」

本人が全く困ってないものを強制はできない。

「そうですか・・・。」


ひとみは早々に説得を諦め、検査結果の説明をすることにした。

「今年も大きな変化は出ていませんね。この検査はまた来年でいいでしょう。」

モニターの説明を聞いた多田さんは良かったーと言いながら帰って行った。


多田さんが出て行った後、ひとみは陽子に話しかけた。

「あんな強い近視の度数で裸眼で生活って、どんな感じなんだろうね?」

「さあ?本人が言うとおり困ってないんじゃないですか。この間、多田さんが駅前の百貨店前の人通りの多い通りを自転車で爆走してるの見ましたよ。」

「裸眼で?」

「もちろんです。」


多田さんなら本能で物体を判別してそうだな・・・。

事故らないことを祈ろう・・・。


そう思いながら、ひとみは書き終えたカルテを陽子に渡したのだった。




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