凛花のひみつ。
涼介と凛花は、凛花の家にいた。
凛花が涼介の家で暮らせる様に、最低限の荷物を取りにきていた。
「涼介くん!見て!かわいくない?」
凛花は派手な下着を涼介に見せる。
「ちょっ、ちょっと!凛花さん?」
涼介は恥ずかしそうに顔をそらした。
「早くしまいなさい!」
「なんで〜?かわいいのに・・・
あっ!今付けてるのもかわいいんだよ!見る?」
凛花は服のボタンに手をかける。
「まて!待って!今は荷物!荷物を!」
涼介は、凛花を必死に止めた。
「ちぇ〜っ。」
「早くしないと終わらないぞ!」
「はい、はぁ〜い。」
凛花は不満そうに荷物をまとめ出す。
「よしっ!とりあえずこれだけ持っていけば、なんとかなる!」
「なんか荷物多くないか・・・?」
「当たり前じゃん!私女の子ですよ!」
「ははっ。それは失礼しました。
じゃあ行こうか。」
「涼介くん。待って。」
「まだ何かいるの?」
「違うよ。そこに座って。」
凛花は、涼介を座らせ、涼介の向かいに正座して座った。
「あのね。怒らないで聞いてくれる?」
「えっ?何を?」
「私の秘密。」
「秘密?すごい秘密?」
「う〜。すごいかわ分からないけど・・・」
「分かった。」
「じゃあ・・・涼介くん浮気しようとしてるでしょ?」
「はい?!全く思ってない!」
「ほんとに?事務の優しくしてくれた子にご飯おごらないとな〜とか思ってない?」
「えっ!?なんで?ってかご飯は浮気?」
「う〜ん。涼介くんを思ってる子と二人で行ったら浮気かな。」
「なかなか厳しいな・・・でも凛花だって同伴したじゃん。」
「私達は、昨日から付き合ったんで〜す!それにもうキャバクラは辞めたから、私が浮気する事は無いよ。」
「分かった。誘ったりしない様にする。」
「えらいね。約束!」
凛花は小指を立て、手を差し出す。
二人は指切りをした。
「でもなんで知ってるの?」
「へへっ。いつも見てるよ。」
「えっ?マジ?」
「ふふっ。冗談だよ。分からない?」
「うん。」
凛花は、まとめた荷物をあさりだし、
黒縁メガネを取り出した。
そして、長めの分けていた前髪を下ろし、メガネをかけた。
涼介は驚きで固まった。
我に帰って叫んだ。
「さっ!西条さ〜ん?!」
「そう。私は事務の西条凛花。」
「待て待て待て待て!脳が追いつかない!」
「私、会社でも我慢できずに涼介くんに話しかけたりしてたのに、気づかないんだもん。」
「ごめん。いや、完璧な変装。悪いのは俺か?」
「涼介くんが私以外・・・話が複雑になるな〜。あっ、元キャバ嬢の私以外を見てないって言うのは嬉しかったよ。」
「言ってほしかったな。会社でも一緒にいれてたなんて、もっと早く知りたかった!」
凛花は、荷物からもう一つメガネを出した。
髪型をかえて、メガネを付け変えた。
「わぁー!もうダメだー!」
涼介はまた叫んだ。
「キャンプの凛花ちゃんじゃないか!」
「ふふっ。これはバレると思ってたんだけどな。」
「キャンプに来たのは?
まさか友樹もぐるなのか?」
「違うよ。あれはホントに偶然。私もビックリした。そういえば、涼介くんは、キャンプの凛花との約束守らなかったね。」
凛花はムスッとした。
「ごめん。あの時は、大自然の中で気持ちが大きくなってたんだけど、帰ってきたら現実を突きつけられて・・・あっ!もしかして、さっき凛花が言ってた約束したからって、絵のモデルの事じゃなくて?」
「そうだよ。二人でがんばろって約束したから。私、待ってたんだよ、涼介くんはがんばってくれなかったから、私ががんばったの!」
「面目ない・・・」
「ふふっ。今幸せだから許す。」
「なぁ、凛花・・・」
「何?」
「もういないよな?違う凛花。」
「ふふっ。もう他にはいないよ。涼介くんに全部の私を知ってもらいたかった。
全部の私を知っても、好き?」
涼介は、凛花を抱き寄せた。
「大好きだ!」
「良かった。私も大好き。」
二人は、凛花の家を出て、涼介の家に戻り、荷物を置いた。
「よし!これで、生活はなんとかなる!今日は色々疲れたよ。休憩しよ。」
「そうだな。疲れた〜。」
二人はベッドに横になった。
「思い出すね。あの夜のこと。」
「そうだね。これから毎日一緒にいれるのか〜!」
「幸せだね。」
「凛花〜!」
二人は抱きしめ合い、少し眠った。
涼介が目をゆっくり開けると、凛花が涼介を見つめていた。
「おはよ。凛花。」
「おはよ。・・・ねぇ。」
「ん?」
「明日、予定ある?」
「ないよ。」
「ちょっと行きたい所があるの。」
「うん。どこでもついていくよ。」
「ありがとう。」
カチカチカチ。
心地のいい沈黙の中、時計の音が鳴り響いている。
「涼介くん。」
「何?」
「私、もう一つ秘密があるの。」
「えっ?さっきのよりすごい?」
「う〜ん。驚くかは分からないんだけど・・・私が何でキャバ嬢になったかとか、初対面の涼介くんを誘ったかとか、さっき言った、責任取っての内容とかが分かるよ。」
「それ、聞きたいな。」
「一ヶ月・・・一ヶ月我慢できたら教えてあげる。」
「我慢って?」
「ふふっ。言わせないで。」
「だよね・・・実は今日だと思ってた。」
「おあずけだね。」
「一ヶ月は長くない?半分にならない?」
「ならない。」
「分かった。がんばる。」
「今度はちゃんとがんばってね。」
こうして涼介の過酷な一ヶ月が始まる