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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

母性、快楽、マゾヒズム

作者: もどろい

投稿する場所に迷ったので、ここ。

女の首を絞める。柔らかく白い肌に指が食い込む。両手で絞めるが、気道を潰さず、ただ動脈を圧迫するように抑え込む。それぞれの指がそれぞれ違うだけ食い込む。


女の顔を眺める。少しずつ赤くなっていく。四肢がジタバタと暴れ出すが体重をかけて抑え込む。のしかかり、首にかけた手に力を込める。


女の顔は、笑っていた。


ただ優しく、微笑み、そのまま真っ赤になり、次第に青くなってきた。


抵抗する手足の力が弱まってきて、首を絞める手に集中しやすくなる。沈み込む指に肌の柔らかさを感じて、嬉しい。


嬉しい。


そして、飽きて両手を離した。嬉しい気持ちは時間とともに萎んでいった。


生きているか死んでいるかは、知らない。ただ、僕を包み込むような感覚があった。僕は、これが探していたものだと確信する。僕は母性を探していた。


笑った女の顔が脳裏に浮かんだ。


僕は、母性を探していた。




女が僕の足を舐める。目隠しをさせた。椅子に座った僕の前に跪き、両手は後ろに縛ってある。不快な光景だ。


足の指の間を生暖かい舌が這いずり回る感覚は不快だ。通った後の唾液が残す不快な清涼感。顔を蹴って止めさせる。


目隠しを外し、その顔を眺める。


僕を見つめる無垢で、まっすぐな目。僕は鼻の頭に軽くキスをした。


手の拘束を外してあげ、口を濯いでこいと命令し、僕は1人になった。


椅子に座ったまま安全ピンを取り出し、左手に刺した。グッと力を入れて、プチプチと肉を進んでいく感覚を楽しむ。痛いのは嫌いだ。


右手に力を込める。もっと鋭利なものを使えばよかった。傷を広げないように、なるべく垂直に力を込める。皮膚から透けて見える青い静脈まではもう少しのはずだ。プチプチという感覚はなくなり、その代わりにググッと進むような感覚があった。達成感を満たす感覚だ。素晴らしい。


しばらく押し込んで、ピンを抜いた。皮膚の薄皮がピンを抜くのに引っ張られて山を作るが、耐えきれなくて元に戻る。スルスルと抵抗なくピンが抜ける。


ピンが抜けた後の傷跡から少し間があった。どろっとした液体が溢れ出す。赤い。


赤の、深い赤の奥には、真っ黒があって、そこには安寧がある。僕は流れる血を眺めて、その黒に近づいた。


女が帰ってきて、何も言わずともその血を舐めた。快楽的で倒錯的な光景に僕は安堵した。左手を舐める女の髪を撫で、手櫛でとかす。生暖かい舌が這いずり回る感覚が面倒くさくなってきた頃、髪を引っ張って女を剥がす。


左手の傷跡を眺めると、なんだか寂しい気持ちになった。寂しさは、心に真空をつくり内側から蝕む。僕はすがるように女を見た。


女は何も言わず、僕を見た。僕は息を吸った。そこには寂しさを埋めるのにちょうどの形の人間がいた。


僕はただ微笑んで、抱きしめた。その体温に、僕は永遠の縁をなぞった。


暖かくて、生きている人間を感じ、その奥に流れる血液を想像した。心臓に興味はない。むしろ毛細血管の集まりに興奮し、脇の下を舐めた。味は知らないが、生きていると言う事実が僕を興奮させた。


また強く抱きしめて、それから女の顔を見た。不思議そうな微笑み。


僕は確信する。


快楽、母性、マゾヒズム、血液、安寧、刺激、幸福、永遠、陶酔、希望。


全てがここにある。


僕はそれに安心した。


人間に足りないものは、人間だ。


女に安全ピンを渡して、捨てさせる。女の血は見たくない。


女の腹を殴り、寝かせた。


僕も寝ようと思った。


今日はいい日だ。

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