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詩やエッセイ

電波ソングをお兄ちゃんに!【炎の続編】



私の名前は「赤い安全日」




ブラウザーバックするのは待って!


話を聞いて!


私がこんな名前にしたのには訳があるの……



私、異世界から転移してきたの

前の世界ではプロのBL作家だったわ



その世界ではね、小説家になろうっていうサイトがあって

私はそこで男性同士の過激な恋愛小説を書いてたの

その頃は普通のありふれたペンネームだった

「汰雅芽☆弦五狼」って言うんだけど、読めるかしら?


最初はね、誰も作品を読んでくれなかった

評価もいいねも、感想も貰えなかった

真っ白なアクセス解析を見るたび落ち込んでたわ

無関心は、無視より辛く悲しいの


でもある時、うっかり投稿するジャンルを間違えて

その日からアクセスが急増したの

評価やいいね、ブックマークが急上昇

たくさん頂いた感想はいまでも忘れませんわ



「これは神作、めっちゃ面白いです」

「天才だ、天才の発想だ、笑い過ぎて死にそう」

「アハハハハ!助けて!助けて!」

「稚拙なBL小説風だが攻めるのは読者の腹筋」



ふふふ、高貴で耽美な私の作品を読んだ眷族たちの

歓喜に満ちた笑みに満ち溢れていたわ

え? BL小説を間違えて投稿したジャンルはどこかって?

「文芸コメディー」よ

耽美を愛でる者たちはここに潜んでいたとはね、ふふふ



◇◇◇



出版社からの連絡は早かったわ

ランキング一位が二か月続いた頃かしら

書籍化も決まり慌ただしく日々が過ぎ

やがて出版され店頭に並ぶ我が著書、輝いてたわ


でもね、アマゾンのレビューで散々叩かれたの



「ギャグは最高だが色々おかしい」

「面白いが下品、性描写がくどく不自然」

「男性器がおかしい、自分の意思で曲がったりしない」

「男性のそんなところに穴はない」



だってしょうがないじゃない!男性経験ないんだもの!



仕方なく編集の男性担当者に見せてってお願いしたら

次の日、新しい担当が来たわ


急な人事異動で驚いたけど、まあ色々あるのでしょう


新しい男性担当者にも見せてってお願いしたら

次の日、弁護士が来たわ


急なセクハラ訴訟で驚いたけど、後に誤解は解けたわ


私ね、大きな思い違いをしていたの

ふふふ、私もバカじゃないわ、気付くわよ

根本が間違えてたのよね……


そう、経験もないのに書いちゃダメってことよ!


心機一転、ペンネームも変えたわ

その日がちょうど生理後だったから

「赤い安全日」って名前にしたの

うん、今は後悔してる



出版社にペンネームの変更と経験について

相談に行ったら編集長が

ハッテン場でリアルBL見てきなさいって

とあるサウナを紹介してくれたの


そこは男性同士が愛し合う薔薇の楽園と聞いて

私はとても興奮したわ

オーナー了承の上で男性従業員に変装して入店

美青年の絡みが見れる、そう思い込んでいたの


でも目にしたのはクマとクマ

ヒゲと胸毛の絡みあいよ


わかってる、わかってる、悪いのは私

でもリアルはキツかった

私は叫んで店を飛び出した

そこへ走ってきたトラックが、どん。


そして今に至るってわけ



◇◇◇



でも、ここって日本だよね?

言葉も通じるし価値観も同じ

そっか、なろうは無いんだ

え? エロゲーがある? なにそれ?


……なるほど、ここは並行世界で

2000年頃の世界ってわけね

この時代の夢を持つクリエイターは

なろうじゃなくてエロゲーに未来を見てたんだ


個性を捨てないクリエイター

一度背を向けたクリエイター


お金もコネもないクリエイター

埋もれ消えそうなクリエイター


不器用だけど諦めきれないクリエイター

才能が無くても創作がしたいクリエイター


敗北を知る人々が、空を睨んで立ち上がり

力を集め叩きつけてくる反逆のサブカルチャー


それが、エロゲーなんだ

クリエイターだけじゃない?


下品で下劣と見下され、テンプレの塊とバカにされ

三流品以下のクオリティーだ、とレッテルを張られ

それでもクリエイターを応援し支えた人々がいたの?


そうか彼らは知ってたんだ

エロゲーから感じてたんだ

反逆のサブカルチャーが持つ熱量を


うまく立ち回ることしか考えない人には感じない

敗北に恐れず立ち向かう勇者たちの温かい背中が……



◇◇◇



……気が付いたら私は倒れていた


サウナから飛び出しトラックにぶつかり

頭を強く打ったみたい

髭づらでクマのような男たちが見守ってるよ

その瞳はクマのように、優しく温かなんだね


……「赤い安全日」なんて名前はやめる


これからアタシは「紅い燈火(ともしび)」だ


アタシはこれから妄想を燃やして

アンタらの心に火をつけてやるさ


エロゲーに夢を見たお兄ちゃんたちよ

エロゲーを支えてたお兄ちゃんたちよ


アタシが歌うよ、電波ソングって奴を



おわり。




「電波ソングをお兄ちゃんに!」


というエッセイの続編ですが、話は特につながってません。


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ここみんに先こされたw 
頑張れタガメげんごろう!(*´ω`*)
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