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動くに

出浦盛清:高坂は長年。この川中島を守って来ました。川中島の国衆も皆高坂を信頼しています。しかし川中島の国衆が慕う高坂は昌元では無く、昌元の亡き父高坂昌信であります。

森長可:しかし上杉との同盟締結を成し遂げ、緊張関係が続いていた川中島を落ち着かせたのは昌元であろう?

出浦盛清:はい。ただそこまでに至るまでの過程の大半は高坂昌信の功績であり、もし昌信が亡くならなければ……。

森長可:昌元の出番は無かった?

出浦盛清:実際の所は異なりますが。

森長可:川中島の国衆はそう考えている?

出浦盛清:はい。その後、昌元は安全となった川中島から関係が悪化した北条に対処するため駿河に異動したため。

森長可:川中島の国衆との信頼関係を醸成する時間を持つ事が出来なかった?

出浦盛清:森様の仰る通りであります。加えて昌元の代わりに川中島に入った安部宗貞は武田勝頼と最期まで行動を共にし殉じたのに対し。

森長可:昌元は勝頼から託された城を放棄しただけでなく、勝頼と合流する事無く川中島に戻って来た。そして川中島で禄を食んでいる。この事を気に食わないと見ている国衆が居る?

出浦盛清:川中島の国衆の気持ちはまだ武田から離れていませんので。

森長可:其方もか?

出浦盛清:正直に申して宜しいのでありましたら。ただ私は現実を受け止めていますし、上杉に靡くつもりも毛頭御座いません。今は森様のために働く所存であります。

森長可:他の者共は?

出浦盛清:上杉と同盟関係になって3年が経過しています故。ただその中で、上杉との関係が希薄なのが……。

森長可:高坂昌元と言う事か?

出浦盛清:その通りであります。更に悪い事に川中島をまとめる事が出来る家は高坂をおいて他にありません。これは昌信の功績であり、昌元を苦しめる要因ともなっています。

森長可:昌元はどう考えている?

出浦盛清:正直な所わかりません。ただ私のように動く事は出来ない立場にある事を知っていただければと……。

森長可:昌元に留守を託したいと考えていたが……これでは難しいか……。

出浦盛清:森様が美濃に戻られた瞬間。上杉から誘われる頻度が増す事になりますし、越中の状況次第では……。

森長可:川中島に兵を出す恐れもある?

出浦盛清:川中島の国衆が上杉方に靡けば、昌元も従わざるを得なくなってしまいます。

森長可:……人質を昌元に渡すか……。しかし逆効果になる恐れもあるか……。

出浦盛清:森様。

森長可:如何した?

出浦盛清:一人会っていただきたい人物が居るのでありますが。

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