推測
森長可:何が言いたい?届いて等居らぬ!もし届いていたとしても森家は織田家と一蓮托生。明智なんぞに靡く事等あり得ぬ!!
真田昌幸:森様が織田家を見限る事が無い事は重々承知しています。ただ気になる点が1つあります。それは……。
明智光秀が自らの行いを正当化する活動をしていない事が不思議。
真田昌幸:明智が今の地位に就いたのは織田信長様に見出されたからである事は世間皆が知っている事であります。そのような明智光秀が織田信長様に刃を向けた理由はわかりません。このままですと明智は、森様や柴田様等織田家の皆様から反撃される事になります。それを回避するためには、今回自らが採った行動を正当化し味方を増やす必要があります。
森長可:どのような文言が記されようと靡かぬ!
真田昌幸:森様の信長様信忠様に対する忠誠心に揺るぎない事。きっと明智もわかっているのでありましょう。故に森様に書状を送らなかったのかも知れません。そうなりますと明智が次に打たなければならない手があります。それは……。
敵となる勢力を駆逐ないし釘付けにする必要がある。
真田昌幸:今回の政変後、川中島の国衆に対し森様の排除を唆す書状が送り付けられています。この書状を用い、勢力の拡大を目論んでいる者がいるのも否定する事は出来ません。問題はその送り主であります。出浦殿。
出浦盛清:はい。
真田昌幸:明智から何か書状は届いていますか?
出浦盛清:いえ。
真田昌幸:全て上杉景勝からでありますか?
出浦盛清:その通りであります。
真田昌幸:明智が上杉を経由しての可能性は?
出浦盛清:使いの口上に
「明智と共闘している。」
事を臭わせる発言はありませんでした。
真田昌幸:と見ていきますと恐らくでありますが……。
明智光秀はまだ京を掌握する事が出来ていない。
真田昌幸:可能性が高いと見て間違いありません。恐らくでありますが、突発的に起こした謀叛なのでありましょう。明智は畿内を管轄しています。明智は朝廷との繋がりも持っています。天皇様を動かす事も可能な立場にあり、方法も知っています。にも関わらず活用する事が出来ていません。場合によりましては……。
明智光秀が失脚している可能性もある。
真田昌幸:事の真偽を確かめる必要があります。森様の力を必要としているかもしれません。そして何より織田家中枢とやり取りする事が出来る場所に居なければ、交渉事で後れを取る恐れがあります。
森長可:美濃に戻った方が良い?
真田昌幸:仰せの通りであります。
森長可:しかし川中島をこのままにしておくわけには行かぬ。何か良い方法は無いか?