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Eden~楽園のイクェス~  作者: だざい
8/16

また会える

こんにちは、だざいです。

8話「また会える」ができました。

温かい目で読んでいただけると嬉しいです。


【イクェス】をトーシローとエメルダから託されて

2日が経過した。

すぐにでも美也子たちの捜索に向かおうと考えたが

まだ休息を取るべきだとエメルダに進言され、

トーシローにも相談し3日目の朝出発することとなった。

そのため出発は明日の朝になる。


美也子達は大丈夫だろうか…

ミューディ、ミゲルも信頼はしているが心配だ…


はやる気持ちが積み重なっていく。

そしてそのたびにトーシローやエメルダから、

「今は【イクェス】を乗りこなすことだけを考えるんだ」

とずれた路線を修正される日々だった。


トーシローからの開設で知ったが【イクェス】は地球の知識が

MTマニュアル・トランサー技術に取り入れられた機体だけに、

Edenに既存しているMTマニュアル・トランサーすべてと

在り方が異なる仕様だった。


そもそもMTマニュアル・トランサーは基本の【ベイス】の

フレームに環境にあったパーツ、

「SA:シリアルアーマー」を取り付けることで、

まったく別の機体に作り替えれるが、

【イクェス】はフレームから作りこまれており、

外部装甲の取り換えや追加の武装はできても、

【イクェス】から別の機体に作り替えるのは、

不可能とのことだった


トーシロー曰く

「【ベイス】のフレーム飛行SAシリアルアーマーをつけると

 【ラジウム】という機体になる。

 だが【イクェス】はフレームその物をイクェス専用に設計したため、

 SAシリアルアーマーによる換装はできないのだ」

とのことである。


これを聞いた時少しテルス人をかわいそうに思ってしまった。

地球とEdenの技術を使ったハイブリットと言われれば、

確かに聞こえはいいのだが…

テルス人が長い年月をかけて考えたMTマニュアル・トランサーの、

利点をガン無視した機体ではないかと感じたのだ。


だってMTマニュアル・トランサーの利点であり、

テルス人の文化みたいな所あったように思ったし…

ちょっとの換装で手軽に環境に適応できるのが

セールポイントじゃないのか?と


しかしトーシロー先生は割とドライに…

「どの局面でも攻守バランスの取れた戦闘と、

 物資の補給が無い場合のコストの削減を考えた結果

 これが一番都合がいい!

 いちいち換装してたら都度戦う場所が限られるし、

 一々換装作業しなきゃいけないから大変なんだ

 それならどこでも戦えるマルチタイプでいい!!」

とのことだった。


いや、言ってること正しいけど…

MTマニュアル・トランサー作ったテルスの人泣いちゃうよ…

強みが…って


話を戻すが結論【イクェス】はこの星唯一のワンオフ機体ということだ。

ただ逆を言えばほかのMTマニュアル・トランサーの恩恵を受けられない。


それでも総合的なステータスの高いバランス重視の

機体を作ろうという発想は、地球人ないし日本人である

トーシローらしいなとは思った。


ちなみに操縦の方はというと慣れてきてはいた、

基本的にはシンプルな操縦方法だったのもあり、

コツを掴むのはだいぶ早かったように思える。


個人的にネックになったのは両踝に装備された、

高速車輪【ダートレーサー】だ。

こいつはあまり凸凹な道では使えないが、

起動させると両方4本の車輪が高速感移転することで、

高速で地面を移動できると言うものだった。

まさに直線などまさに、

「ダートレース」をするかの如く加速するのだ。


そして現在も引き続き【イクェス】の操作or模擬戦闘練習に打ち込んでいる。

主に射撃訓練についてだ。

トーシローはエメルダに呼ばれて席を外している。

訓練内容は簡単で【イクェス】に専用武装「ドッズ・マグナム」を使って、

少し離れた位置にある的を撃ちぬく…それだけだ。

これが割と難しい。

やはり【イクェス】専用だけに、威力と反動が桁違いだった。

操作が慣れてきたとは言え、100発100中させることはまだ難しかった。


いっそ100発100外しならできそうな気がする…


そのため反乱軍の主力戦闘用MT(マニュアル・トランサー)

【ミーレス】に乗るテルス兵士達と共に、

ひたすらその射撃センスを磨いていた。


ジャ!バン!!ヒューーー…バキィ!!

隣にいる【ミーレス】の打った弾が的を射抜く音が聞こえる。

右手に持った汎用武器「カジュアル・バレット」の遮音と、

射抜く音が実にリズミカルだった。


ジャキ!バギュィィィィィィ………

一方【イクェス】のどこまでも飛んでいく弾の音が演習場に響き渡る。

「ドッズ・マグナム」の音が桁違いすぎて…視線が痛い


な、なんで当たらないんだ…

俺…こんなにセンスないのか…


すると後ろから【ハットミーレス※指揮官機】が近づいてくる。


「おい地球人!いつになったら的に掠るんだ!

 そんな腕ではすぐに死ぬぞ!!」

「いや…俺が聞きたいんだが…」

「もっとよく狙え!ここまで射撃のセンスが無いと

 心配になるレベルだ」

「まぁでしょう…ね…なぜ…」

「まったく…打ち方やめ!!休憩とする地球人お前は私のところにこい!」

「マジか…」


【ハットミーレス】…これに乗っているということは、

その舞台の隊長に当たる人物であるということだ。

さらにここはエメルダの指揮する拠点だ。

実質エースと言ってもいいだろう。

そんな人に呼び出しをされたのだ、

怖くないわけない…


ウィーン…

ウィーン…


互いにコックピットからスロープを使って降りてくる。

カツカツと歩いてきて隊長は俺の前で止まった。


「地球人!貴様やる気はあるのか!?」

「あるよ!ありますよ!!でも当たんないから苦労しているんでしょう!?」

「そもそもマルチロックオンがあるだろう!?」

「あるけど撃った後射線がズレるんだよ!」

「そりゃあ真っすぐ進むわけないだろう!

 重力と風速で弾道は曲がるそれを考慮して打て!」

「できないから苦労してんだよ!!」


ちなみに男っぽい口調だが一応女性である。

彼女の名前は「アリア・ニルヴァーシュ」

この部隊の隊長でありエメルダが認めるエースパイロットで、

そのMTの操縦技術はたった1人で小隊を全滅させるほど、とのことだった。

俺には託された初日から面識があった。

しかしいざ小隊に紛れて練習に励んでいると何かと突っかかてくる。

そのため少しこの人は苦手だ。


「このままでは明日出撃したとして、すぐに帰ってくることになりそうだな」

「な!?なんだと?」

「そうだろう、エメルダ様が地球人の男を利用し作り上げたこの機体だ、

 その性能は計り知れないはずだ」


…確かに今の俺は【イクェス】の力を出し切れている…

 とは言えない、しかしトーシローを利用はしてないだろう!


「なぜこんな地球人に…この機体を…」

「俺が…託されたからだ…」

「なに?」

「仲間を探し、救うそのための力だと」

「なら人選を間違えたのだろう」


こいつ…言わせておけば…


「悔しければ演習の結果で見せてみろ!

 それ以外私はお前を認めない」

「ぐ…」


そう言い残すとクルっと振り向きカツカツと去っていった。

俺は悔しさと怒りと情けなさに向けようのない感情を抱き、

【イクェス】のコックピットへ戻っていった。


「クッソ…なんであんな言い方されなきゃいけないんだ…」


俺の腹の虫は収まらなかった。

どうして当たらないのか見当もつかなかった。

指示通りに操作はしているはずだ、

なのになぜ…


「なぁ…教えてくれよ【イクェス】…」


答えるわけのないのに問いかけてしまう。


はぁ…


少し…悲しくつらい気持ちになる…

涙が出そうになる目をこする。

そこで思い出す。


くじけている場合じゃないと、

出発は明日、俺に時間はない。

泣いている暇はない、今できることをやるんだ。


もう一度復習だ。

まず「ドッズ・マグナム」を右手に持ち、

的に向かって構える、マルチ・ロックオンを作動する。

ターゲットが射線に入ったら引き金を引く。


ジャキ!バギュィィィィィィ………


外れる


何かがおかしいんだ。

考えろ…考えるんだ。


トーシローは言っていた。

【イクェス】はワンオフの機体で別のMTとは根本が違うと

「ドッズ・マグナム」のような反動の強い武器を

【ミーレス】が使ったらたとえ両手でも反動で肩から壊れてしまうと言っていた。

それを片手で打っている【イクェス】はやはり強度も違う。

それゆえに【ミーレス】は右手に「ドッズ・マグナム」の半分ほどの反動の

「カジュアル・バレット」を装備していた。


やはり威力のせいか…?


ん?待て、右手?


【ミーレス】は右手に「カジュアル・バレット」を装備し射撃を行うことで

演習中も的に正確に弾を当てていた。

しかし【イクェス】は「ドッズ・マグナム」を右手に持って打って外している。

そして「ドッズ・マグナム」の反動は、

【ミーレス】の両腕が反動で肩から壊れてしまうほど。


なら…【イクェス】が両手で打つとどうなる…


俺はそこで【イクェス】を動かし、両手持ちにしようとしたところで

「ドッズ・マグナム」の銃口の手前から両手持ち用の取っ手が開いた。

ここで気づいた。


俺は【ミーレス】が片手打ちをしていたから、

【イクェス】も同じだと思っていた。

こんな簡単なことになぜ気が付かなかったんだ!!!


「ドッズ・マグナム」を両手持ちに直す

的に銃口を向ける。

するとガシャンッと【イクェス】の眼にサングラスのようなカバーが降ろされる。

その瞬間目の前のモニターに新たなマルチ・ロックオンが表示される。

そして的に向かって照準を合わせ…


引き金を引いた


ジャキ!バギュィィィィィバガァァァァァ!!!!!!!!!!


「…す、すごい…」


的に当たった。

当たりそのままその先の弾受けの壁すら破壊して粉々にしてしまった。

その弾道は銃というよりレールガンに近いものだと感じた。


「当たった…当たったぞ!!!!

 やったぞ!!俺はできたんだ!!!!」」


バァァァン!!!

演習場の出入り口の扉が勢いよく開く


「零士!!なんの音だ!!!」

「うおぉ!?トーシロー」

「なんだこのありさまは!?」

「聞いてくれ!トーシロー!実はな…!」

「すまん零士!一旦俺に黙ってついてきてくれ。頼む」

「…?」


トーシローが真面目顔で俺を静止したので、

何かあったのだと察しすぐに【イクェス】カタパルトへ戻し、

そーシローについていった。

黙って歩くトーシローの背中から

ただならぬ雰囲気を感じた。


会議室まで連れてこられた俺は何人かすれ違うテルス人から

「疫病神め、あいつがスパイなのでは」など、

言われたが何のことか心当たりがなかった。


いったい何だってんだ…


連れてこられたのは会議室で中に入ると数名のテルス人たちが

エメルダに挨拶をしそそくさと部屋を出て行くところだった。

少し不可思議に思っていると、最後の1人を見送り

会議室の奥に座っていたエメルダが席から立ち上がった。


「トーシローありがとう。

 零士大切な話があります。」

「…?何があったんだエメルダ?」

「…ここから約20キロの地点にある第1中継地点が、

 攻撃を受け壊滅しました。」

「約20キロってすぐそこじゃないか!!」


エメルダは静かに頷く

その瞬間ドォォォンと爆発音が

遠くから聞こえてきた。

徐々に近づいてきている。


「今反乱軍の戦士たちが迎撃に出ていますが、

 正確な拠点の位置を知られており攻撃を受け始めました。

 よってこの基地を放棄し

 全員に脱出の指示を出しました…」


「なるほど…俺にも脱出をしろってことか…」


「はい、ここは戦場になります」


「わかった…エメルダ達は…?」


「私たちは仲間の撤退が完了するまで、

 ここで指示を出し続けます」


「でも…もうすぐそこに来てるんだろ!?敵は!」


「…大丈夫です。

 先頭に立つものとして先に逃げるわけにはいきません。

 1人でも多くの命を逃がさなくては…

 私も後からすきを見て逃げます」


その危機迫る表情とは裏腹にどこか裏があるように感じた。


「エメルダ…これでサヨナラじゃないよな…?」

「…零士、短い間でしたがあなたと話せてよかった…

 トーシローと一緒に撤退を…」


とてつもない轟音と共に衝撃が基地を襲った。

ドゴォォォォォォ!!!

その空襲でもあったのではと思う地鳴りで、

会議室を揺らした。

近くにあったものが倒れ壁に亀裂が入るほどだ。


「エメ!!」


トーシローは一瞬のうちにエメルダとの距離を詰めた。

支えるようにエメルダの手を引き、

意を決したようにこちらを見た


「すまん…零士…俺は一緒に行けない」

「何を言ってるのトーシロー!!」

「ごめんな…俺はエメルダと共にここに残る」

「トーシロー…」


突然のトーシローの言葉に動揺したのは

エメルダだけだった。

零士はまるでそうなるだろうと

知っていたような口ぶりだった。


やはりトーシローもエメルダはここで、

命を落とすつもりだったのだろう

引き換えに皆を逃がそうとしたのだ。


しかし零士を呼びに行ったタイミングで、

トーシローは恐らく考え察していたのだ。


「ごめんな、エメ‥俺はお前を1人にしたくない」

「トーシロー…死ぬわよ…?」

「死なないさ、2人ならな!」


トーシローはニカッとエメルダに向かって笑う。

涙を流すエメルダをそっと支えながら零士に言う。


「零士行け!俺たちも状況を見て脱出する!」

「わかった…また、なた‥会えるよな…?トーシロー」

「会える。漢と漢の約束だ!これはサヨナラじゃない!

 【イクェス】を頼むぞ!」

「零士…気を付けて…」

「エメルダ…また会おう!」


それだけ言葉を交わし会議室を飛び出した。

【イクェス】の元へ、全力で走った。

振り向く事はなかった。


途中基地の外が見えたが火の海だった、

ドォォォン、ズゴッドォン…と爆発音と地鳴り、

そしてキュィーンという【ダートレーサー】の音。


直接嗅いだことのある爆炎と硝煙のにおい、

熱い熱風、何度も足を止めそうになるがそのたびに、


また会える…必ず会える…行け零士!!


とトーシローの言葉が頭に浮かぶ

立ち止りたい気持ちが何度もよぎる、

だがそれをを振り切るように

【イクェス】の元へ走っていった。


漢と漢の約束を信じて。


倉庫を抜け【イクェス】の格納された

カタパルトにたどり着いたが、

もうここも炎にのまれかけており、

黒煙が立ち込めていた。


この2日叩き込まれた指導のせいか、

感情が昂っていても冷静に起動をさせる。

その手際に自分自身で静かに驚いたほどに‥


【イクェス】の首下のコックピット内で

モニターに光がぱあぁぁと灯り、

中央に起動シークエンスが再生される。

画面に左から1行ずつ単語が表示され、


【Effugent 】

【Quiet 】

【Utopia  】

【Earth  】

【Sanctuary】


そしてこれらの単語が消え頭文字だけが最後に残った。


【E.Q.U.E.S】


その瞬間ヴゥン…キュイン!!

と【イクェス】の両眼が黄色く輝いた。


「みんな…俺いくよ…」


カタパルトが開き【イクェス】が

燃え盛る黒煙の中歩き出した。

そして角を抜けたところで出会った。


初めてのソルダートと…












ここまで読んでいただきありがとうございました。

ちょっと話の内容が納得できなかったので書き直しました!

お読みいただけた方はすいません…


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