SOS
こんにちは!だざいです。
実質1話の「SOS」を書きましたので投稿します。
温かい目で読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
子供のころに見たSF特集番組が俺が宇宙に興味を持ったきっかけだった
地球にやってくる未知の生命体やUFO、謎の地上絵当時の技術じゃ到底作れない建造物たち、
そういったミステリーに強くあこがれて、
将来自分がこの宇宙を旅し謎を解明したいと思ったものだ。
そのために必死に勉強をし国際宇宙観測員となることができた。
そして本来であれば今、俺の目の前に地球によく似た星「Eden]、
ここが人類の新たな冒険の始まりになるはずだった。
「零士顔怖いよ大丈夫?」
「美也子…ごめん考え事してたよ」
展望デッキで一人今まであったことを思い返して感傷に浸っていると、
植物観測員兼索敵担当の「咲 美也子」が無重力を生かして、
軽やかにこちらに渡ってくる。
「何度も衛星調査をして安全が確認できたうえで
本来なら今頃人類の新たな新天地として希望になるはずだった、
でもメルセデスⅠは消失してしまった…」
「まだ危険があったと決まったわけじゃないわ
もしかしたらメルセデスⅠの不調で通信できない可能性おあるし。
「だとしても…気を引き締めないといけないな」
本当にそんな些細なことなんだろうか。
確かに機器のトラブルにより通信や航行が不可能になっている可能性はある。
しかし俺の中で何かが引っ掛かっていた。
…メルセデスⅠは現在考えられる最新鋭の技術が積み込まれた船だ。
そんな船が航行不能になる前に痕跡を残さづに急に消失するものか??
「あ、そうそう忘れてたわ!私零士を呼びに来たの!」
「俺を?何かあったのか?」
「見えてきたのよ!「Eden」!!」
~~~~~~
ブリッジに上がると目の前に地球ととても似た青い星があった。
まるで自分は故郷に帰ってきたんじゃないかと思うほどに
とても美しい星だった。
「零士!どこ行ってたんだよ!見ろよスゲーぞ」
操縦席に座る細身の男性がこちらに気づき楽しそうに声をかけてくる。
「語彙力無くなってるぞミゲル、もう少し観測士らしく表現しろよ」
同期のミゲル・フリンクウッドは苦笑いをしながら
だって人類の希望の星だぜ?と子供のようにはしゃいでいた。
彼とは訓練学校の時からの仲だが観測員になってこんなに楽しそうなのは、
久しぶりに俺も見た気がしていた。
しかし…
「ミゲルさん私たちは遊びに来たんじゃありません。
今回の任務は原因調査と救助です。少しは自覚をしてください。」
俺が指摘するよりも先にボイラー長のミューディ・クランクが話に割って入ってきた。
「ミューディ真面目すぎ。任務はわかってるけど、やっぱり長年探した星が目の前にあるとさーこう…
すげぇワクワクするじゃん!」
「気持ちはわかりますが…もしかしたら今この瞬間も助けを待っているかもしれないんですよ?
自覚を持つべきだと思います。」
これはまずいまたケンカになりかねない。
どうにも性格もあると思うが2人は相性がそこまでよくない、
地球を出発してから約47日ことあることに言い争いに発展してしまい、
俺か美也子が仲裁に入ることが多くあった。
正直もう少し仲良くしてほしい。チームメンバーだし…
「ほらほら2人ともその辺にしとこうよ!
お互いの気持ちはわからなくないでしょ?」
美也子の言葉で二人ともフンッと左右逆を向きそれぞれの持ち場に戻った。
2人が席に着いたところで美也子が「やれやれと」俺に視線を向け自身も持ち場の席に戻った。
~~~~~~
2人の小競り合いからしばらくたった時事件は起こった。
勢いよく美也子が立ち上がり俺に声を上げる。
「零士!探知機にSNS信号を受信!!コードは…「メルセデスⅠ」!!」
「何!?位置は!?」
「位置は…「Eden」の地表からです」
「ということは着陸しているということか…」
発信信号が宙域ではなく地表ということは予定通りメルセデスⅠは「Eden」に降り立って
トラブルに巻き込まれたことを意
味していた。
「どうする?零士、俺たちも降りるか?」
ミゲルがやや不安そうに俺に問いかけてくるが…まずはやることがある。
「いや、、まだだ。ミゲルいったん船を停止。美也子地球への交信はできるか?」
「やってみるわ」
美也子はすぐさま地球への交信を開始した。
しかし不可思議なことに地球への通信ができなかった。
まるで通信そのものが遮断されているかの如く安定しなかった。
「だめだわ、、ノイズのみでとてもつながらない。」
おかしい地球との距離の問題か?いや前日まで定期報告はできていたはずだ。
もしこの宙域が通信障害を起こしているならメルセデスⅠの信号も受け取れないはず…
「零士どうしますか?地球との交信ができない以上降りることも危険だと思いますが、、」
ミューディの言うことはもっともである。
ここで下手に動き着陸時にメルセデスⅠの二の舞にならないとはかぎらない。
この場の全員が俺に視線を向ける。
「ここは…」
ここは交信できる場所まで後退を口にしようとした時、
受信していた「メルセデスⅠ」から音声データがブリッジに流れた。
「たす…けて…れ!!!だれ…か!…のむ!!!ザァーーー…」
俺たちは急な叫び声に驚きそして緊急事態が起こっていることに背筋が凍った。
乗組員は生きている、しかし命の危機に瀕している。
「やべぇよ…助けに行こうぜ零士!!!」
「零士、もし今後退したらきっと取り返しのつかないことになる気がするの。
安全を常に確認しつつ救出に行きましょう」
2人はこの状況で救出を優先する考えを示す。
だがミューディはその意見に否定的だった。
「いえここは一度地球と交信し救援を要請すべきです。
通信ができない以上万が一の時このアウディⅡも航行不可能になる可能性も考えられます。」
各々が自らの意見を述べる。
正直ミューディの意見がもっとも現実だと思ったが、、、
「零士!どうすんだ!!」
「アウディⅡはこれより惑星「Eden」に着陸する。
その後メルセデスⅠの乗組員を救出し宙域を離脱する!」
ミゲルの言葉に間髪を入れずに俺はそう言い放った。
俺たちの任務は救援だ
そこに生存者がいることが判明した以上救いに行くのが俺たちだ。
俺の指示にヨッシャとミゲルが艦首を握り、美也子は微笑みながらレーダーに向き合った。
ミューディだけが不服そうな顔をしていた。
とても憎らしい目を俺たちに向けて。
この選択が地獄への最初の選択になったと気づくのは
もう少し先になってからであった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回キャラクターの名前を考えるときにすごく頭を抱えました。
次はついにEdenに着陸します。果たしてメルセデスⅠのSOSシグナルの場所に何があるのか。
近々執筆しますのでお楽しみに。
また今後ともよろしくお願いします。