ゾロア
遅くなりましただざいです。
私ごとですが子供が12月8日に生まれました!
その影響で執筆がやっと今日終わりました。
温かい目で見てくれると嬉しいです。
「危なかったな兄さんたち…」
バランが去った店内に安堵の声と共に緊張がほぐれた空気が流れた。
「あたし勢いであんなこと言っちゃったけど内心気がきじゃなかったわよ」
「全くだ、何がお兄ちゃんだそんな歳か!?わざとらしくちょっと高めの声で…」
「何よ!アリアならなんとかできたわけ!?絶対頭の中「戦う?」みたいな脳筋だったくせに!!」
「な、なにを!?私だってなぁ!」
ギャーギャーと2人が揉め出すが先程までいつキレるともわからない糸の上を歩いているような店内にいたせいかその姿すら微笑ましく思う気持ちになる。
「バラン…か」
「どうしたの?零士?」
「いや、改めてすごい軍人だったなってなんというか、こちらのことを見透かしているような目をしていたなって思ってさ。」
「兄さん、ここいらじゃ「バラン」という名前は有名だよ。通称「砂漠のバラン」。青い「ジャグー」っていうMTを操り帝国には向かおう組織を悉く沈めてきた男さ。」
「砂漠のバラン…」
「あたしもパパから聞いたことある。帝国軍人の中で5本の指に入るMTの使い手だって…」
「できれば私たちがゾロアに向かうまでに関わりたくはないな。」
こちらの戦力は【イクェス】たった1機さらに飛び道具はなく近接格闘のみこれでは安心して戦えるとは言えない。
「そうだな、当面の目標は変わらずにいこう」
「ならゾロアに反革命軍の俺の知り合いがいるんだが紹介してやろうか?」
スギホが奥から地図とともに紹介状を零士たちの前に出してきてくれた。
「いいのか?」
「あんた達には命を救われたからな、これくらいさせてくれ」
スギホから説明を受けて零士達は店を後にするのだった。
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ゾロアまではそこまで距離はないらしくホバーで約2時間といったところだそうだ。
一面砂漠に覆われており時折ラクダのような現地の動物が目に入るが、
零士たちは砂塵を巻きながら先に進むのだった。
「アリア反革命軍て革命軍と違うのか?」
「反革命軍は革命軍に物資の補給や休息を取るのに協力してくれる人たちのことだ。私たちが前線で戦うからそのサポートをしてくれている。」
「なるほどな、革命軍はいないの?」
「正確にはあったんだがな」
「あった?」
アリアが苦虫を噛み締めたように言った。
「ゾロアにも革命を謳う同志達がいたのは事実だ。しかし半年前に帝国の進撃があり壊滅したと聞いている。」
操縦桿を握り続けているがその目に光はなく何か遠くのものを見つめているようだった。
アリアは表情を変えずに話し続けた。
「革命軍は常に圧倒的数のある帝国に争い続けている。いつか迎える自由の日まで。ゾロアも解放するために今も武器の運搬をメインに今は活動してくれている形だ。」
「そっか。俺も何かできることってあるのかな」
「そうだな…」
少し間を空けるといつものアリアの顔がこちらに向いた。
「ひよっこには重すぎる。とっとと自分の星へ帰ることだな」
「な!?」
「あくまで私たちの星の問題だからな。お前はお前の使命のために動けばいいのさ」
零士は何かを言いかけたが言葉を飲み込んだ。
日も暮れて地平線が赤い光で日光輝くのを横目に【イクェス】を乗せたベイスはゾロアへ向けて走り続けてた。
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ゾロアへ着いた時昼間と違い肌を指すような寒さの中だった。
ゾロアは大きな岩を切り崩したような街の形をしていた。
さながら要塞である。
入り口には大きな扉となっており一度中に入れば出ることはできないのではないかと思うほどだ。
「ここがゾロア…」
「大きい街だね〜あたしの村なんてここの何分の1??」
「見惚れてる場合じゃないぞ。【イクェス】を隠さなくては」
「でも…どこに?」
「こっちだ」
アリアに促され大きな通りを避けて進んでいくと小さな店が立ち並ぶ通りに入った。
ベイスはキャタピラモードで進んでいくが幅はギリギリだ。窓越しにはそれを横目に睨む現地の人の視線があった。
「ここを…こっちか」
とうのアリアは気にするそぶりすらないl。
「着いたぞここだ」
着いたのはいわゆる酒場だった。
「パパとムーミン??どんなネーミングしてんのよ」
ムーミンて聞くと地球のアニメを思い出してしまうがきっと違うんだろうな…
アリア、キキ共にベイスから降り店へと入っていくと中はとても騒がしかった。
酒を煽り陽気に笑う男達、料理や酒を運ぶウェイターに舞台で可憐に踊る美女。
まるで地球の西部劇に出てくるような店だ。
3人ともフードを深く被ると一直線にカウンターにいるマスターの元へ向かった。
「お客さん何を飲みますか??」
接客にきたマスターへ
「ミルクでももらおうか」
アリアが囁くように話した。
するとマスターは少々お待ちくださいと奥へと入っていく。
「ねぇちょっとアリア今のなぁに?センスない。」
「これが合言葉なんだ。スギホからのな」
すると白髪で目つきの鋭い男が奥から出てきた。
「ヨォ、待ってたぜ。アンタらをな表のMTを地下に隠したい起動キーを貸してくれ」
「な!?そんなことできるわけが‥」
「頼む」
「アリア!?」
「ちょ、アリア!?」
零士の反論を遮ってあっさりベイスの起動キーを渡すアリアに一同はざわめいた。
しかしアリアは言葉を続ける。
「安心しろ敵じゃない。胸のシンボルを見ろ」
そう言われて2人は白髪男の胸元を見る。
そこには赤く月と華のようなマークが刻まれたワッペンだった
「そうさ、俺は敵じゃねえ反革命組織「月華団」団長のバロム•イツカだ。お前達は奥で話を聞きたい着いてきてくれ。マサキ頼む」
「あぁ」
後ろから筋肉質な同じ羽織を着た男が出てきて外に向かって行った。
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店の奥に進むと地下へと続く階段がありいくつかの部屋のの一つに通された。
部屋は意外にも整っておりバーの雰囲気とは違い大人の余裕のある部屋だった。
「ここまでの長旅ご苦労だったな。スギホから話は聞いてるぜ」
「あぁ、すまないが世話になる。MTの補給を受けたいのだが…」
「それはかまわなぇ。こっちもそのためにある組織なんでな」
いつものアリアと違い1戦士としての交渉をしているようだった。
「アンタか噂の異星人てのは」
「零士だよろしく頼む。さっきは疑って悪かった。
そう言っ手を伸ばす。
だがバロムはその仕草にきょとんとしていた。
すると間髪入れずに吹き笑いをした。
「ぷはっは、あんたさてはお人よしだな?」
「え、なんで!?」
「いやいや!気にすんなそうゆうやつは好きだから!歓迎するぜようこそ」
バロムはそうゆうと握手を交わした。
「ねぇあたしキキって言うんだけど無視しないでよね!」
「ワリィワリィお嬢ちゃんもよろしくな」
「む?こいつ子供扱いしてやがるな????」
ひとしきり挨拶を終えるとバロムは向かいお席に座り今の帝都の情報を俺たちに共有してくれた。
帝都では行方不明になっていた姫君が見つかったことで浮き足立っているとのことだった。
2ヶ月前に行方不明になり王子が血眼で探していたらしく時系列はちょうど俺たちの船が不時着する少し前だった。王子も妹が帰還したことにより安堵しているとのことだ。
その影響もあり帝都までの警備が緩くなっておりゾロアから向かうのはそこまで難しくないらしい。
「ならば明朝にでも立つことにするか。早いに越したことはない。」
「だが問題がある。アンタらのことが奴さんの一部で噂になっているのが問題だ。現にバランがこの辺を嗅ぎ回っている。」
「バランってあの軍人さん?」
「そうだ嬢ちゃん。ぶっちゃけここもいつ嗅ぎ付かれるかわかったもんじゃない。」
「ここにはMTはないのか?」
「今俺たちも個人的に動いていてな。パイロットとMTを別の場所に運んでるんだ。ここには整備班と俺とマサキしかいない」
「すまん、遅くなった。あの蒼いMTドックに回したぞ」
「おぉ!ちょうどよかった。こいつはマサキ・ヤマモト。こいつのうちのMTパイロットだ」
「よろしく」
「口数は少ないが、まぁ多めに見てくれ」
「よろしくマサキ」
「あぁ」
零士が出した手はマサキにはスルーされた。
「話は逸れたが今警備が緩いがゾロアだけは例外だ早く出るに越したことはねぇ。見つからねぇうちに早く帝都に向かうべきだ。」
「どう思う零士」
「俺もその方がいいと思う。早くここを離れた方がいいかも。」
「明朝までの整備は終わらせるように手配はしておくその間お前達は休めよ」
「そうさせてもらう」
「ネ〜シャワーない??私砂まみれでさぁ」
「あるぜ、マサキ頼めるか?」
「あぁ、こっちだ」
「バロム」
「なんだ零士」
「頼みがあるんだが何か武器を俺たちにくれないだろうか。【イクェス】には武器が…」
「ん〜そうだな…そういえば発注されてたけど基地の襲撃があったんで手付かずのがあるな」
「ほんとか!?」
「あぁ、多分オタクのいた基地宛のな」
「私たちのいた基地にだと?」
【イクェス】は綺麗にドックに収まり整備を受けていた。
駆動域に摩耗が見られたが特に問題はないとのことだった。
整備ドックは思ったより狭くMTを4機格納したらパンパンになりそうだった。
「これだ!見たことのない形なんで誰が使うんだかと思っていたんんだが…」
「ドッズマグナムとハーケンブレード!!」
「ってことはあの蒼いMTの武器だったか。どうりでどっちも見覚えがねぇわけだ」
これを発注したのはおそらくエメルダだろう。
基地が燃えもう専用武器は使えないと思ったが不幸中の幸だ。
「それともう一つあるんだがこれもじゃないか?」
と【イクェス】の隣にあったカバーを勢いよく剥ぎ取った。
「これは…?」
零士とアリアの前にあったのは大きな赤い塊だった。
差し詰めそれは戦いを前に眠る闘牛のようだった。
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時刻は零士達がバーにはいいて言った頃だった。
バロムに連れられて奥に入っていくと同時に宣告まで酒を煽って騒いでいた男が1人小便だと外へ出て行った。しかしその男は手洗い場とは真逆の外へ続く廊下へ歩いて行った。
その顔には先ほどまでの笑顔はなく1人の兵士の顔をしていた。
そして街の大きな扉を越えしばらく進んだところで擬態カバーを外し隠してあった緑の砂漠地帯用MT【ビギン】に乗り込んだ。そして【ビギン】の眼帯より光を点滅させた。
バランヘホウコク、キシガカメノナカニハイッタ。
その光に対し遠くの地平線で同じく光が瞬いた。
リョウカイ、ミョウチョウ騎士のクビヲトル。
男はニヤリと笑みを浮かべると再び【ビギン】でどこかへ姿を消していった。
月の光に照らされた【ビギン】の肩には赤い月の華が描かれていた。
さてゾロアにつきました。
がゾロアに到着も束の間すでに裏切り者がいたようです。
果たして零士達は無事に王都へ辿り着けるのでしょうか。