旅立ちの日
お久しぶりです。だざいです。
やっと更新できました。
温かい目で読んでいただけるととても嬉しいです。
ウェダとの決闘(MTファイト)のあと3時間の問答の後に解放された零士は倒れ込むように眠りについた。
満身創痍で目覚めてそのまま決闘となったのだ、そのまま悪夢も見ずに眠りについたのは言うまでもない。
【イクェス】は【ゴレーム】との戦闘の後修復のため共に盗賊村の修理班によってメンテナンスを行われている。
ただ流石にあの巨体と真正面からぶつかったのだ、【イクェス】の修復には悲鳴をあげているらしい。
しかし駆動系には一切のダメージがなくむしろ装甲等々の修復の方がメインとなるとのことで、
トーシローの作り上げた機体がいかに頑丈か改めて感服するばかりだ。
決闘から3日が経過した時キキと共に盗賊村近くの商店通りに買い物来ていた。
この盗賊村は小さな集落が盗賊村を中心に散りじりに存在し、
村とはいえ領土を考えるなら一つの町のような広さだった。
「キキ待ってくれまだ買い出しはあるのか!?」
「何?もうへばったの??意外と体力ないのね!」
「かれこれこれで8件目だぞ!?そんなにウェダのお使いがあるのか??」
「まぁパパのお使いは最初の店で終わってるけどね…」
「なんだって!?」
「なんでもなーい!ほら次はあっちの店行くよ!」
なんで俺がこんなことに…
アリアはあれからまだ目覚めていない。
だが昏睡状態は続いているものの回復は順調らしく医師曰く、いつ目覚めていてもおかしくないとのことだった。
アリアが目覚めたときに今までのことを話さなければならない。
恐らくショックを受けるのは避けられない‥
「でも…事実を伝えて受け入れないと先に進めないよな…」
「どうしたのー??早くー!!」
「今いくって!キキ用事終わってるなら帰ろうぜ?!」
「やーよ!まだいきたいところあるんだから!あとレイジも服買った方がいいよ」
「服?」
「だってそのまま服でいるつもり?流石に浮いてる格好なの察してる?」
「確かに…」
盲点だった
〜〜〜
そこから何件か店をハシゴした。
キキは楽しそうに他にも雑貨屋などもより俺の服や生活用品を見繕ってくれた。
服は地球でいうエスニックな服装に近く、独特な民族柄のある服だったが、
この盗賊村にいる人たちも同じような服装をしていたのでこのデザインが主流なのだと思う。
「んふふ〜♩」
「なんだよキキ、ニマニマして」
「だってアタシが選んだんだもん!思った通り服似合ってるよ!かっこいい!」
「そ、そりゃどうも…」
なんだよ調子狂うな…
しばらく2人で帰路につきながら無言で歩いているとキキが口を開いた。
「それはそうと、少しは気が晴れた?」
「なんで?」
「アリア…だっけ、あの人にここでの事とか前の戦場の事とかどう話そうか考えてたんじゃないの?」
「……よくわかったな」
「パパは、あぁやって言ってたけど実際戦場で生き残った人に真実を伝えるのって伝える側は勇気もいるし怖いことだし、知る側は悔やんだり悲しかったりがあるものだもの」
「キキも経験あるのか?」
「まぁ…ちょっとね」
キキは少し俯きながら少し寂しそうに言った。
「でも隠さずにいっそありのままを話したほうがいいわ」
「でも少し伝え方ぐらいは考えないと」
「そうね、でも真実は隠しちゃいけないのよ。あとでそれが嘘と分かった時により傷着くからね」
「そうゆうもんか」
「そうゆうものよ」
一番伝得るのが酷なのはエメルダやトーシローの死についてだ。
たった数日一緒にいた俺はいざ知らず、かなりの年月をきっと共にいたはずだ。
少なくともエメルダとアリアは。
「大丈夫よ!アタシが一緒にいてあげるから!」
「いいよ、これは俺の役目だから」
少し遠慮しながら答えるが、キキは少しムッとした表情で答える。
「1人ぐらいこの村の人間がいたほうが良くない?それに一応盗賊村の長の娘だし」
それは…一理あるかもしれない。
ただ俺が説明するより現地の人もいたほうが安心するだろうし、納得するかもしれない。
「それもそうか…」
「でしょ?だからその時はアタシも一緒にいるよ」
キキは見上げるように笑顔で答えた。
「じゃあ頼むよ」
「はーい任されました!レイジもあんまり気負いすぎちゃダメよ?」
「そうだな、気をつけるよ」
そこからは2人で帰路についた。
そこからの道中は何気ない話をしながら帰った。
一間の時間俺はあらゆる柵から解放された時間を楽しんだ。
〜〜〜
翌日アリアが目覚めたことをキキが知らせに来てくれたので
零士は急いでアリアの治療をしている部屋へ向かった。
コンコンコン3回ノックしキキと共に中へ入る。
そこには赤い髪をした少女がベットで上半身を起こして座っていた。
「アリア良かった目が覚めたんだな!!」
俺は一目散に駆け寄ってアリアの手を掴んだ。
アリアは驚くような顔をしながらこちらを向いた。
「お前、零士か?無事だったのか」
「あぁ、アリアの方が重症だったんだ。ここの人たちが助けてくれなければ危なかった。」
「ここは…?」
「盗賊村だよ」
「盗賊村だと!?」
その名を聞くや否やアリアはベットの端に逃げるように飛び退く。
しかし傷が痛むのか顔を顰めてそこまで距離を取ることはできなかった。
「どうしたんだ…?」
「まぁそうゆう反応になるよねぇ…」
キキが髪のはしをいじりながら小言をこぼした。
「キキ…?」
「レイジこれが普通の反応だよ」
「え?」
「お前達いったい何を企んでいる!?盗賊村は外部との接触はしない略奪と暴挙しかしない民族だろう!」
ハァとため息をつきながらキキは口を。
「アンタがエメルダ様の部下だったからよ」
そこで察したとした。
この村はエメルダと交流があり彼女への恩義から関係を持っている。
しかし外部との交流は最小限に村を守るためや周辺の民のために略奪行為を行なっている。
キキの言っている通りなのだろう
エメルダの部下だから助けた。
「エメルダ様だと!?…零士!エメルダ様は!?エメルダ様は無事なのか!?」
「アリア俺が説明するよ。キキありがとう」
ふぅとキキはため息をつき近くの腰掛けへ座った。
そこからアリアにあの戦場でのことを伝えた。
初めての戦闘のこと、襲ってきた敵ズミノーのこと、そこから逃げ盗賊村に辿り着きウェダとキキたちに出会ったこと。そしてエメルダとトーシローの最後。
アリアは黙って俯きながら聞いていた。
「ここまでが今まで会ったことの全てだ。キキ達は俺たちを救ってくれたんだ」
「…」
「信じ難いのかもしれないけど事実だ」
「話は分かった…キキすまなかった」
「まぁアンタ達のやってること外から見てるだけで何もしないからねアタシ達」
「これから私はどうしたら…エメルダ様のいない今どうしたらいい…」
アリアが絞り出すように言った。
「まぁ慕うべき主君がいなくなればそうなるわよね」
「アリア、俺は仲間を探しに旅に出る」
「行き先は決まっているのか?」
「王都へ向かおうと思っている。そこに俺の仲間がいる」
美也子が向かったとうい王都。
そこに向かうのが今できることだった。
きっとその先にミューディやミゲルもいるはずだ。
たとえわずかな可能性でも今目の前にある手がかりに賭けてみるのだ。
「そうか…」
「アリア…一緒に来るか?」
「私が…?」
「反乱軍に戻る手立てがあるなら止めはしない」
アリアはこちらに向き直る。
「でも他の反乱軍の拠点までも距離もあるだろうし、これからの方針が見えないのなら王都までの行き方を教えて欲しい」
「ちょっと!アタシだけじゃ不満なわけ!?」
「不満とかじゃなくて王都までの旅をするのに人数は多い方がいいじゃないか!それにアリアは元軍人でMTの操作で俺はまだまだ足元にも及ばない。教えて欲しいことはあるよ」
「レイジ‥」
「自分本位なのも承知しているけど…やっぱりアリアがいたら心強いよ」
「…少し考えさせてくれ」」
「そっか、わかった」
「出発はいつを予定しているんだ?」
「早ければ2日後に出発したいと思っている。もう【イクェス】の修復も含めて補給は終わる予定だから」
「2日か‥」
「それまで俺はこの家の裏にある古屋にいるよ。何かあったら呼んでくれ」
アリアは再び下を向くが
「でもさ…」
「…?」
「アリアが目覚めてくれて良かった、俺はそれだけで嬉しいよ」
零士はそれを言うとそっとその場を後にした。
〜〜〜〜〜
ザッザッザッ
もう外は暗く辺りは闇に包まれている。
月の光こそが唯一の明かりだった。
零士は寝泊まりしている宿舎の隣にあるトレーラーMTに収納された【イクェス】の元へ来ていた。
静かに眠る蒼い騎士は何も語らず零士を見上げていた。
「【イクェス】…」
アリアに今までの事を話しながらここまでの記憶を思い返してしまい、
共に戦いを潜り抜けたこのMTに会いに来てしまった。
「アリアがどちらを選択したとしても俺たちは進むしかないよな」
【イクェス】が何も喋らない
でも月明かりに照らされた【イクェス】は蒼く蒼く輝いていた。
〜〜〜〜〜
零士が部屋を出ていきキキとアリアだけが残された。
どちらも口を開かず沈黙だけがその部屋にあった。
しばらくただただ時間が過ぎていたが痺れを切らしたようにキキが口を開いた。
「アンタがどう感じたかは知らないけど零士が言ったことは全部ほんとのことだからね」
「…分かっている」
ふぅとため息をつくとまた沈黙が続きそうだったのでキキも明日また来ると伝えて部屋を後にしようとした。
が、それよりも先に声が聞こえた。
「私が守らなくちゃいけなかったんだ…」
キキがアリアに向き直る。
「私がエメルダ様を守り、あのソルダート共を…」
アリアは涙を流しながらポツポツと語り出す。
それは悔しさと悲しみが混ざったような震える声音だった。
エメルダ様…と口々に
キキは一通り話し終えるまで黙って見守っていた。
「私だけが生き残ってしまった…私もみんなと最後まで一緒に‥」
「それは違うんじゃない?」
「…?」
「いるでしょアンタ以外にもう1人」
キキはまた来るとだけ伝え部屋を出た。
取り残されたアリアは涙を流しながらその言葉の意味を考えていた。
〜〜〜〜〜
翌朝零士は1人アリアの元へ向かおうとしていた。
一晩経ってやはりアリアが心配になっていた。
椅子に賭けていた服を羽織りウェダに借りた部屋を後にした。
格納庫と併設された物置みたいな場所だったがキキが掃除をしてくれて快適な場所だ。
周りを見渡すとまだ朝方だがぼちぼちと人が歩いていてそれぞれの日常を始めかかっていた。
すれ違う人に挨拶をしつつ【イクェス】の前まで来るとアリアが立っていた。
「アリア!?」
「零士か」
「歩いて大丈夫なのか?」
「あぁ、平気だ」
そうゆうとまたアリアは【イクェス】を見上げた。
しばらくそのまま沈黙したが
「あの時」
「え?」
「あの燃え盛る炎の中で蒼い閃光が一陣走るのを見た。お前達だったんだな」
アリアの危機にダートレーサーをフルスピードで稼働されたあの時だろう。
「俺は必死だっただけだよ…トーシローもエメルダも救えなかった。」
「…そうだな」
「もっと上手く【イクェス】を扱えていたら…」
「それは私も同じだ」
零士は言葉に詰まってしまった。
どんな言葉を書ければいいのかと。
しかしアリアは零士が言葉をかける前に「だがな」と続ける。
「私はお前に救われた。それも事実だ」
「!」
意外な言葉にアリアの方を向くとアリアも零士を見ていた。
「聞いたぞ、お前私に事実を伝えた後1人にならないように残ってくれたんだってな」
「知ってたのか」
「まぁ今朝方ここで立っていたら教えてもらったんだがな」
ふっと笑うと言葉を続ける。
「お前がいなければ私は帝国軍に敗れてあの炎に飲まれていただろう。ありがとう生かしてくれて」
「俺も無我夢中だったんだけどな」
「私はお前と共に行く」
零士が言葉を言い終える前にアリアは言い切った。
共に行くと。
「帝国へ向かい必ずエメルダ様の仇を取る。」
「そうか、わかったよ」
…俺も必ずトーシローの仇を取る
零士はそっとアリアへ右手を差し出した。
「一緒に行こうアリア」
しかしアリアはその行動を訝しげに見た。
「これはなんだ?」
「握手だよ。お互いの気持ちが通じた時にお互いの手を取るんだよ」
「お前の星の文化か?」
「そ…そうだな(汗)」
すると素直にアリアも右手を差し出してきてくれた。
「よろしく頼む零士」
まだ薄日かる朝日がガレージのなかに差し込み、これからの旅の始まりを意味するかのようだった。
今回アリアが目覚めて旅に加わるまでどのような気持ちに彼女はなるのかなと考え込んでしまいました。
結果1週回ってだいぶラフになってしまいましたけど…
次回から帝国への旅編に入っていきます。
【イクェス】は果たして帝国へ立ち向かえるのか。
また少しづつ更新していきます。
いつも間が空いてすいません汗