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知らない英雄

 青い空と白い建物のコントラストが眩しい。

 アルタと初めて出会ったボスコには、たくさんの海鳥と猫がいた。

 私たちは旅を終えて、それぞれの道を歩み始めた。

 リージェンはレベル人に限らず、国境を越えて支配や迫害を無くすために行動して、そのカリスマ性はレベル国だけに留まらず、世界中にファンが出来ている。

 フォルスは退屈だからといって自分を負かすような相手を探す旅に出てしまった。おじいちゃんなのに自分より強い相手がいないって改めておかしいと思う。

 フェーデはイグレシア教に拘らず、星霊と人の共存のため、国を発展させながらの環境保護について啓蒙する旅をしている。モヤモヤが晴れたようで毎日楽しそう。

 私も目的は違うけどフェーデと旅をしている。別れ際にアルタに教えてもらった作戦を成功させるために。

 猫が魚を食べているのを遠巻きに見ている小さな姉妹がいた。

 私に気が付いて拙い言葉で御礼を言う。きっとご両親や大人たちが私を英雄扱いしていたのを見ていたのだろう。

「私もお姉さんみたいに強い英雄になりたいの。どうしたらなれるの?」

 お姉ちゃんが私の目を下からジッと見る。世界が平和になったと急に言われてもまだ実感はないよね。

 しゃがんで私も真正面からその子の目を見て答える。

「大事な人だけじゃなくて、自分に関係のない人も守ってあげて。どこの国のひとだとか、イグレシア教徒だとか関係なく、自分とは違う世界の人も助けてあげて。愛していない人まで救えるのが本当の英雄だと思うよ」

 満面の笑みで頷き、妹の手を引く。

 妹もお姉ちゃんが嬉しそうで、つられて笑っている。

 講演を終えたフェーデがゆっくりとこちらに歩いてきた。

「どれぐらいの人から称えられると星霊になれるんでしょうね」

「アマネに聞いたけど、誰もが知っている英雄で、誰もが崇めるような存在になって祭壇に祀られないといけないんだって」

 世界中の人がアルタを英雄として祀れば、アルタは星霊としてこの世界に甦る。

 そうすることでまた会えるし、一緒に過ごすことが出来る。

 だから私はアルタの活躍を世界に広めるために旅をする。

 伝説の剣を携えて異世界から来た英雄が、魔王を滅ぼしたお話をして回る。

 アルタが星霊になる頃には私だけおばあちゃんになっているかもしれないけれど、その時は若返りの魔法でも見つければいいや。

 空には青空が広がっている。

 遥か遠くに見える星も、遠いだけでずっとずっと近づいていけばきっと辿り着けるはず。

 必ずアルタとまた出会えるのを信じて、私は旅を続ける。


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