書き方が分からないプロローグ
俺には家がなくなった。
村もこの有様だったら滅んだって言ってもいいだろう。
目の前は道だったから別に大変なことになってはいないが、
右には廃墟、左には瓦礫、後ろは瓦礫が崩れて
通れないとまでは言わないけど、
道とは呼べなくなっている。
どうしてこんなことになったのか。
そんなことはとっくに分かってる。
……俺のせいだ。
俺がこの村で暮らしてたからこの村は滅びた。
この村がたまたま災害に巻き込まれたわけじゃない。
俺がいなければこの村は今頃皆家で寝ていると思う。
こうなってからそう時間は経ってないけど、
あれからずっと考えてる。
俺は死んだ方がいいんじゃないかと。
俺のことをまだ生きていてほしいと確実に
思ってくれている人は多分2人だけだ。
2人には申し訳ないけど死ぬ方が俺として気が楽でいい。
こう思うまでは――
もっと愛されたい。もっと好きになってほしい。
本当の愛っていうのが何かは分からないけど、
それを知ってみたい。
こんなこと今まで思ったことはなかった。
こう思ったのは今ある目の前の光景が原因だ。
俺は、死にたい場所で生きるための理由を見つけた。
初めて生きていくのに強い目標を持った。
まあ、愛されたいとか言ってる時点で大分良くない気がするけど。
俺は今は守られているっぽいから安全だけど、
ここを離れれば魔物が集まってくるだろう。
そもそも少しだけど魔物に囲まれてるし。
俺には仮の相棒があるとはいえ、倒し切れるとは思えない。
ほぼ間違いなく死ぬ。無謀だ。
けど、もうそれでいい。
今まではできそうだって思わないとやらなかった。
これからもそう変われはしないだろうけど、
少しは動けるようになりたい。
ここで動けないのに、目標を達成できるわけない。
怖がるな。大丈夫、大丈夫だから。
気楽にやっていこう。
俺は仮の相棒を掴んで線を越える。
こいつは相変わらず握るだけでも痛いけど、耐えられる。
俺が線を超えるとすぐに魔物は飛びかかってくるし、
こっちに向かってきてるのも分かった。
俺は目の前にいる奴らに向かって相棒を振る。
俺は意地でも生き残って、
家族でまた過ごしたいんだ!
プロローグを綺麗にまとめられる人って凄いよね。