第24話 サポートプラッシー 中編
どうも、伊達幸綱です。それでは、早速どうぞ。
「ふぅ……ただいま、っと。まあ、そんな事を言っても返事をしてくれる人がいないんだけどな……」
帰宅した男性は寂しそうに言っていたが、腕の中にある熊のぬいぐるみに視線を向けると、苦笑いを浮かべ始めた。
「それにしても……色々試してみようと言ってみたものの、この熊のぬいぐるみを俺が持っているのはやっぱりなんだか気恥ずかしいな。けど、せっかく貰ったわけだし、まずは何か頼んでみようか」
そう言いながら廊下に『サポートプラッシー』を置くと、男性は『サポートプラッシー』を見ながら静かに口を開いた。
「……俺が帰ってきたらおかえりなさいとお疲れですを、仕事に行く時にはいってらっしゃいを言ってくれるか?」
その後、何も返事が来ない事に男性が苦笑いを浮かべていたその時、『サポートプラッシー』は独りでに動き始め、それに対して男性が驚く中、両足でしっかりと立ちながらペコリと頭を下げた。
『おかえりなさい。今日もお疲れ様です』
「え……ほ、本当に喋った!?」
『はい、喋りますよ。私はそういう風に作られ、『繋ぎ手』の手によって貴方に渡された道具なので』
「『繋ぎ手』……ああ、あの子の事か。けど、本当に誰かを傷つける事以外なら何でも頼んで良いのか?」
『構いませんよ。それが私の役目なので。それで、今のところの命令は先程仰った事だけで大丈夫ですか?』
「あ……ああ、大丈夫だ。そういえば、今から夕飯にするんだが、お前は食事ってするのか?」
『必要ではありませんが、食べる事は出来るので、命令とあればご一緒させて頂きます』
「わかった。でも、これは命令じゃなく、俺からのお願いだ。新しい住人と一緒に食事をして、親睦を深めたい。それくらい命令でも何でもないだろ?」
『……私にはわかりませんが、貴方からのお願い事は承りました』
「うん、ありがとうな」
『サポートプラッシー』に対してお礼を言った後、男性は『サポートプラッシー』を優しく抱き上げ、そのまま歩き始めた。
「……なあ、『サポートプラッシー』?」
『はい、何かご命令でしょうか?』
「いや、命令じゃなくて、これからよろしくって言おうと思ってな」
『……はい、こちらこそよろしくお願いします』
「うん、よろしくな」
『サポートプラッシー』の無機質な声に笑みを浮かべながら答えた後、男性は新しい住人が出来た事への嬉しさを感じながら夕食を作るためにキッチンへ向かってゆっくりと歩いていった。
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。