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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第18話 ポケットフレンズ 中編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

 空に幾つもの星が瞬き、街灯のぼんやりとした灯りと月だけが道を照らす夜、スーツ姿の女性は疲れた様子で自宅に着くと、鍵を開けてゆっくりと中へ入った。


「ただいま──って、誰もいないのに言ってもしょうがないか。けど、明日からはそうならないかもしれないわね」


 少しワクワクした様子で女性はリビングに入ると、ソファーの上にカバンを置き、その中から小さな四角い袋を取り出す。


「……この『ポケットフレンズ』は私だけの友達が作れる紙粘土で、真心をこめて作ってあげたら動いたり念波で話せたりするってあの子は言ってたけど、何を作ろうかな……」


 女性は『ポケットフレンズ』を机の上に置くと、腕を組みながら頭の中に色々なものを浮かべ、しばらく考えた後、何かを思い付いたように微笑んだ。

そして、袋を開けて中に入っていた紙粘土を捏ねる事数分、机の上には小さな紙粘土の犬が置かれ、その出来映えに女性は満足そうに頷いていたその時だった。


『ん……あれ、もしかして貴女が僕を作ってくれた人?』

「そうだけど……って、作った犬が喋った!?」

『それは喋るよ。だって、僕は普通の紙粘土でもないし、普通の犬でもないしね。まあ、話す時は今みたいに念波でになるけど』

『あ、そうだった……えっと、貴方は私の友達になってくれるんだよね?』

『うん、そうだよ。ところで、僕についての注意点って聞いた?』

『たしか……貴方が何も悪い事をしてないのに友達を止めるのはダメ、だっけ?』


 女性からの問い掛けに『ポケットフレンズ』はコクンと頷く。


『そうだね。僕はお姉さんに対して何か危害を加える気もないし、進んでお姉さんの手助けをするつもりだよ』

『私の勝手な理由で貴方と友達を止めるとどうなるの?』

『……本当は僕が教えて良い物じゃないと思うけど教えてあげるね。その時は僕がお姉さんに噛みついて、お姉さんも今の意識や記憶を失って僕と同じ物に変わる事になるんだ。つまり、お姉さんもその時にはこねこねされて何か別の物にされてしまうわけだね』

『そっか……まあ、貴方とは仲良くしたいと思ってるし、そうなるつもりはないかな。それに、別に今の自分が嫌なわけでもないし』

『うん、僕もそうなってほしくはないかな。お姉さんがどれだけ真心をこめて作ってくれたかはわかってるし、お姉さんは良い人みたいだから、僕もこれから仲良くなっていきたい。せっかく作ってもらったわけだしね』

『うん、そうだね。それじゃあこれからよろしくね』

『うん、こちらこそよろしくね』


『ポケットフレンズ』からの親愛を感じながら女性は微笑んだ後、軽めに準備した夕食を食べながら『ポケットフレンズ』との会話を始めたが、その表情には『ポケットフレンズ』への信頼と好意の色が浮かんでいた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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