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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第17話 リスタートダイアリー 中編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

「ただいま……!」


 不思議な出会いの後、帰宅した少年はワクワクした様子で玄関を開けると、その声に驚いた母親がリビングから顔を出す。


「おかえり……今日はいやに元気だけど、どうかしたの?」

「ちょっと良い事があったんだ」

「そ、そう……まあ、良い事があったのは良かったわね。とりあえず手洗いは忘れないようにね」

「うん!」


 少年が返事をし、母親がリビングに戻った後、少年は洗面所へと行って手洗いうがいを行った。その後、急いで自室に戻ると、カバンの中にしまっていた『SAVE&LOAD』と表紙に書かれた日記帳を取り出した。


「……よし、早速試そう。この『リスタートダイアリー』はその日にあった事をページに書き込んだら、その文章の時間に戻りたいという気持ちをこめながら触れる事で意識をそこへ戻す事が出来るってあの子は言ってたし、今日の失敗を無かった事にしに行こう。

失敗を無かった事に出来るなんて他の人には決して出来ないし、これが成功すれば僕は失敗とは無縁になる。さあ、始めようか」


 ワクワクした様子で少年は『リスタートダイアリー』を開くと、その日の出来事をすらすらと書き始める。そして書き終えた後、その内の一つに触れながら頭の中にその出来事を思い浮かべた。

すると、少年の視界はぐにゃぐにゃと曲がり、視界が元に戻った頃には少年は自室ではなく学校の教室におり、周囲には同じように席に座る生徒達と黒板の前に立つ教師の姿があった。


「……ほんとに戻れたんだ。って事はたぶんそろそろ……」

「それじゃあこの問題は……」

「はい!」

「おお、珍しいじゃないか。じゃあやってもらおうか」


 教師が嬉しそうに言い、少年が自信満々に前に出る中、生徒達は少年を見ながらクスクスと笑う。しかし、少年はそれには反応せずに黒板の前に立ってチョークを手に取ると、黒板に書かれた問題の解答を書き始めた。


「……これでよし、と。先生、出来ました」

「……おお、正解だ! 少し不安を感じていたんだが、やれば出来るじゃないか!」

「あはは、ありがとうございます」


 少年が誇らしそうに言い、驚く生徒達からざわめきが漏れる中、少年の視界は再びぐにゃぐにゃと曲がり、視界が戻った頃には少年は再び自室にいた。


「……戻ってきた。でも、さっきまで教室にいて問題に答えていたのは間違いないし、先生の感心した声やクラスのみんなの驚いた顔も覚えてる。

 よし……この調子で今日の失敗を全部成功に変えて、明日からも起きた失敗は全部成功にしてやる。ふふ、楽しみだなぁ……」


『リスタートダイアリー』を見ながら呟く少年の目は妖しい輝きを宿し、その声はどこかぼんやりとした物だった。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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