第12話 ガイアシャワー 中編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「……よし、それじゃあ花壇の世話をしに行こう」
生徒達が部活動や委員会活動を始め、それ以外の生徒が帰宅したり教師がそれぞれの仕事に励む放課後。水が入った空色の如雨露を手に持った女子生徒はやる気に満ちた様子で独り言ちた。
「……みんなはもう花達が元気にならないって思ってるようだけど、私には心強い味方がいる。この『ガイアシャワー』なら枯れた植物だって水をあげれば元気になって、しばらくは病気にもならないってあの子が言ってたし、今日こそはみんなを元気にしないと……」
女子生徒が『ガイアシャワー』を持つ力を強くしながら独り言ちていた時、その後ろから一人の男子生徒がゆっくりと近づいてきた。
「やあ、これから水やりかな?」
「あ、部長……はい、今日こそは花を元気にしてみせます」
「元気に、か……たしかにそう出来ればいいけど、中々うまくいってないからね。だけど、なんだか今日の君はすごく自信があるようだ。だったら、僕は君を応援するよ」
「ありがとうございます、部長。それじゃあ行ってきます」
「うん、いってらっしゃい。僕も副部長との作業が終わったら見に来てみるよ」
「わかりました」
女子生徒は嬉しそうに答えた後、男子生徒と別れて花壇へと向かった。数分後、花壇に着いてみると、そこには色とりどりの花が咲いていたが、花びらにはどこか瑞々しさがなく、ところどころが茶色に染まっていた。
「……やっぱり元気がない。でも、そんな日々は今日でおしまい。お願いします、女神様……この学校の花達をどうか元気にしてあげてください……!」
祈るように目を閉じながら独り言ちた後、女子生徒は目を開けてから如雨露を傾け、花の上から水を撒き始めた。すると、萎れかけていた花達は徐々に空に向かって顔を上げ始め、花びらも瑞々しさが増していった。
「す、すごい……! 色々な肥料も試したり欠かさずに水をやってみたりしても元気にならなかったのに、こんなにすぐに元気になるなんて……!
花びらの色も鮮やかになってて、茶色になってたところもなくなってるし……この『ガイアシャワー』の力があれば本当にみんな元気にしてあげられるかもしれない」
女子生徒は目を輝かせながら花達を見ていたが、やがて何かに気づいたような表情を浮かべると、傾けていた如雨露をすぐに戻した。
「危ない危ない……やりすぎちゃいけないって言われてたんだった。よし……このまま全部の花壇を巡って花をみんな元気にしていこう」
希望に満ちたような表情で顔を上げると、女子生徒は別の花壇がある方を向き、待ちきれない様子で花壇へ向かって急ぎ始めた。
いかがでしたでしょうか。
今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それでは、また次回。