第99話 神罰錠 中編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「くそっ……この、化け物共め……!」
「化け物、か……君達のような普通の人間からすればたしかに化け物のように見えるだろうね」
「黙れ! 人の人生を狂わせて平気な顔をしてるような奴らのくせに!」
「……平気な顔だと? そんなわけあるか!」
「お姉ちゃんの事を何も知らないくせに勝手な事を言わないで!」
「俺を含め、世の中の人間達の人生を狂わせてきたのは間違いないだろ。こんな奴らさえいなければ、今頃は普通の幸せを掴めたのに、人生を破滅へと導かれた奴らだっているはずだからな!」
元許嫁の言葉に『導き手』達が黙る中、『繋ぎ手』は哀しそうな顔をしながら静かに口を開く。
「たしかにそうだね。私達の存在は色々な人を不幸にもしてきたし、中には命を落とした人だっているよ」
「『繋ぎ手』……」
「だからこそ、私達はこれからも道具や縁者達の人生に真剣に向き合わないといけない。縁者達が幸せな人生を歩めるようにちゃんと道具についての説明もして、それでもダメだったらその事はしっかりと受け止める。それが私達の果たすべき責任だから」
「そうだね。やり方はどうであれ、ボク達と『繋ぎ手』達がやって来た事は同じだ。故に、ボク達は自分達の過去を受け入れ、乗り越えた上で未来へと進む。君という過去から目をそらさずにね。という事で、そろそろ君とのこの因縁にも決着をつけようか」
『救い手』が笑みを浮かべながら言っていたその時、『導き手』と『探し手』の体がぼんやりとした白い光を放ち、それが止むと、『導き手』と『探し手』はハッとしてから隅に置かれた『コスモバッグ』へと近づいた。
そして、その中から一丁の拳銃を取り出すと、それを見た元許嫁は嘲笑うような顔をする。
「ははっ、なんだ。結局、俺を殺して終わりにする気か。やっぱり綺麗事を言うだけ──」
「いや、お前は死なない。これは命を奪う道具じゃないからな」
「それは……お兄さんが渡しておいてくれた『パニッシュメントシューター』だよね?」
「そうだ。なんでかはわからないけど、これの力に頼るのが一番の道だってわかったんだ」
「私もそんな感じかな。一番良い方法は何かなって考えたら、思い付いたのがこれだったから」
「そっか……」
兄妹の言葉に『繋ぎ手』が少し哀しそうな顔をし、『救い手』がその背中を静かに叩く中、兄妹はゆっくりと二人へと近づき、揃って目の前に立つと、『導き手』は真剣な表情で『パニッシュメントシューター』を差し出した。
「二人とも、これで決着をつけるんだ」
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。