第98話 シールドフェザー 後編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「お兄さん……妹ちゃん……」
「やはり、ボク達の大切な人達はとても優秀だったね。こんなにも早く迎えに来てくれるのだから」
「……お待たせ、『繋ぎ手』」
「……まったく、心配かけさせるなよな」
嬉しさで目を潤ませる『繋ぎ手』と当然といった様子で微笑む『救い手』を前に兄達が安心した様子を見せる中、妹達は二人の姿をジッと見ていたが、すぐに目をキラキラと輝かせた。
「お姉ちゃん達、スッゴく可愛い……!」
「うん、本当に可愛い……!」
『繋ぎ手』は拐われた時とは違う白いドレスを、『救い手』もいつものパーカーにジーンズといった格好ではなく黒いドレス姿であり、刀傷の男性は二人を軽く見回してからニヤリと笑った。
「たしかにこりゃ可愛らしいもんだな。おいお前達、ウチの秘書から変な事されてねぇか?」
「ボス……そんな事するわけありませんよ。俺には恋人も娘もいるんですから、二人を悲しませるような真似はしませんって」
「くく……たしかにな。兄貴達、お前達はどう思う?」
「え……いつもの『繋ぎ手』とは違う感じで少しドキドキしますし、可愛さも際立ってると思いますよ」
「そうだな。前の俺ならそこまで思わなかったと思うが、今ならこういう格好をしているのは可愛いんだと思えるな」
「前の……ああ、もしかして彼女が何かしてくれたのかな?」
『救い手』が聞くと、コピーの兄は静かに頷く。
「『インカーネーションボトル』という道具でコピー体から一人の人間として生まれ変わらせてくれたんだ。前払いでな」
「そうかそうか。それはとても喜ばしい事だね。わざわざ拐われてきたけれど、結果として良かったと言えるのかな?」
「わざわざ拐われてきた?」
「実はそうみたいなんだ。『繋ぎ手』さんの時は気づかれてなかったけど、『救い手』さんの時は声の感じから俺だと気づかれていたみたいで、俺だと知らないフリをしてそのままここに来たし、ボスとの計画を話すために世話係として来てみたらそれを話されたよ」
「このタイミングなら元許嫁側からのアクションもあり得たからね。因みに、ボク達が拐われた際に没収されていた道具達や着ていた服は部屋の隅っこにあるから、すぐにでも帰れるよ」
「わかった。それじゃあ今すぐ──」
「そんな事、させると思うのか?」
その声を聞いた全員が入り口を見ると、そこには醜悪な笑みを浮かべるスーツ姿の少年が立っていた。
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。