第93話 フェイマスタグ 中編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
男性が路地から出てくると、通りを歩いていた人々は揃って男性に視線を向ける。しかし、その視線は決して好意的な物ではなく、好奇や侮蔑ばかりだった上に中にはニヤつきながら携帯電話を向ける者もいた。
「……人様を見て面白がったり気味悪がったりしやがって。だが、今日からは俺がお前達を面白がる番だ」
そう言うと、男性は歯を使って自身の指を切り、手に入れたばかりの『フェイマスタグ』に血で名前を書き始めた。そして書き終えると、ニヤリと笑ってからゆっくり首から提げた。
「……これでいい。この『フェイマスタグ』に名前を書いて首から提げれば、俺の威光に誰もが圧倒されて、なんでも言う事を聞くらしいからな。まあ、俺をあの家から追い出したガキやあのクソ女共に復讐をしてやってもいいが、その程度で満足するわけにはいかない。
俺は誰よりも上の存在なんだ。誰もが俺の言う事だけを聞いて、それをありがたがってればそれで良いんだよ」
男性が満足そうに笑いながら周囲の人々に視線を向けた瞬間、男性を嫌悪の目で見たり携帯電話を向けたりしていた人々は誰もがハッとし、慌てながらその場に跪いた。
「ほう……何も言わなくても俺がどんな奴かわからせる事が出来るのか。コイツはいい。それじゃあ早速色々やらせてもらうか」
男性は醜悪な笑みを浮かべると、近くにいたカップルに近づき、その内の男性の頭を掴むと、ニヤついた顔を近づけた。
「……おい、お前の女を今すぐ俺によこせ」
「は、はい……どうぞ……」
「そうか……ははっ、さっきまで俺の事を面白がってた奴がここまで俺の事を怖がって震えているなんて愉快でたまらないな。おい、女。今からお前は俺の奴隷だ。どうだ? 実に光栄で幸せな事だろう?」
「は、はい……貴方のような方の奴隷になれて、私は本当に幸せです……」
「そうだろうそうだろう。くくっ……これは良いな。これまでの鬱憤を合法的に晴らせる上にそれに文句を言う奴も一切いない。男共は俺の代わりに働かせ、女共はそばに侍らせて好きな時に楽しむためのおもちゃに出来、ガキ共は俺に楯突かないように“教育”した上で成長する前からたっぷり楽しませてもらう……これこそが俺の望んだ世界。俺こそが世界の支配者になるべき男なんだ!」
周囲の人々が恐怖で青ざめながら跪く中、男性は優越感に溢れた顔をしており、とろんとしたその目は虚ろで、口からは涎が垂れていた。
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それでは、また次回。




