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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第91話 アイデアエッグ 前編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

「はあ、どうしよう……このままじゃ本当に良くない事に……」


 空がオレンジ色に染まり、辺りが少しずつ暗くなってきた頃、スーツ姿の男性は暗い表情でとぼとぼと歩いていた。


「そもそもあんな見知らぬパチンコ屋なんていかなければ良かった……全然当たらないからムキになって金を借りてきても全然うまくいかないし、膨れ上がった借金のカタに妻と娘を持っていくなんて言われてるし、このままじゃ俺の人生は……」


 男性が絶望しきった顔で歩いていたその時だった。


「そこのおじさん、少し良いですか?」

「え……?」


 突然背後から声をかけられ、男性は驚いて立ち止まった後、後ろをゆっくりと振り返った。すると、そこにはニコニコと笑うセーラー服姿の少女とその隣に立つ学生服姿の少年、そして紫色のパーカーに若草色のスカート姿の少女が立っていた。


「き、君達は……?」

「私達は道具と人間の橋渡し役とその助手兄妹です。ところで、おじさん。なんだか辛そうにしてましたけど、何かあったんですか?」

「あ、ああ……実は金に困っていたんだよ」

「お金……ですか?」

「ああ。この前、あまり見かけないパチンコ屋があったから、ちょっと試しにと思ったら、中々当たらないからムキになってしまって、金を借りてまでやっていたらいつの間にか借金が膨れ上がっていて……」

「それで困っていたんですね」

「そうなんだ……借金の事はまだ家族にバレてはいないけど、このままだと借金のカタに妻と娘を持っていくなんて言われてるから、早くしないとウチの家庭が本当に壊れてしまうんだ……」

「つまり、金策の手段があれば良いと……お姉ちゃん、ちょっと『コスモバッグ』の中を見せてもらうね」

「うん」


『繋ぎ手』が答えた後、『探し手』は『コスモバッグ』の中に手を入れた。そして、中から小さな金色の卵を取り出すと、男性は不思議そうに首を傾げる。


「卵……?」

「この子は『アイデアエッグ』という名前で、温めたり表面を磨いてあげたりすると、所有者の頭の中にお金が手に入る方法や場所を伝えてくれるんです。もちろん、その方法は合法的な手段ですよ」

「そんなすごい物なのか……」

「まあ、その金額は一律じゃなく、『アイデアエッグ』の気分によってまちまちですけどね。そしてこの子はおじさんにプレゼントします。大切にしてあげてくださいね」

「え……ほ、本当に良いのか……?」

「はい。コイツは店頭に並べられなかったり渡しても良いと言われたりしている中の一つなので大丈夫です。これを機にパチンコも止めて、家族のために頑張ってあげてください」

「あ、ああ……もちろんだ。君達、本当にありがとう……!」

「どういたしまして。ただ、注意点があるので、それだけは守ってくださいね」


『繋ぎ手』のその言葉に『アイデアエッグ』を受け取った男性は不思議そうな顔をする。


「注意点……?」

「はい。この子は童話のガチョウの黄金の卵のように所有者にお金をもたらしてくれますけど、決して悪用しようとしたり故意に割ろうとしたりしないでください。それを破ると、大変な事になりますから」

「大変な事……わかった、そうしないようにするよ」

「ありがとうございます。それじゃあ私達はこれで失礼します。その子の事、大切にしてあげてくださいね」

「それでは失礼します」

「おじさん、さようなら」

「ああ」


『繋ぎ手』達が去っていくと、男性は手の中の『アイデアエッグ』に視線を落とした。


「金をもたらしてくれる卵……これがあれば、借金も返せてまたこれまで通りの生活が出来るはずだ。いや、それ以上の生活だって……!」


『アイデアエッグ』を見ながら男性が呟く中、『アイデアエッグ』は夕日を反射してキラリと輝き、男性は『アイデアエッグ』をしまうと、ゆっくりと歩き始めた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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