第89話 サーチドローン 後編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「というのが、『サーチドローン』に関する思い出の一つかな」
「なるほどな……話を聞く感じだと、『救い手』がここへ来てまだそんなに経ってない頃みたいだけど、いつから今みたいな話し方になったんだ?」
「それからまたもう少し経ってからだよ。因みに探し物の封筒は無事に見つかったし、その人もそれ以降は店の常連になってくれたよ」
「そっか……それにしても、道具達にもそれぞれ性格や考え方に個性があるんだね」
「ああ、もちろん。『サーチドローン』は強いて言うなら、落ち着きのあるお兄さんといったところだね。だから、何かとお世話になる事は多いよ。何かを相談する時も話しやすくて、さっき話した思い出の中のようにボク達の意見を尊重してくれようとするしね。まあ、『コピーカメラ』も『ステルスマント』も同じように頼りになる道具達なんだけどね」
クスリと笑いながら『救い手』が言うと、それを聞いていたコピーの妹は『サーチドローン』をチラリと見る。
「話を聞いてると、『サーチドローン』ってなんだかお兄ちゃんみたいな感じがするね」
「『サーチドローン』が俺みたいな感じか……『救い手』はどう思う?」
「そうだね……妹ちゃんの意見もわかるけど、『コピーカメラ』も似たようなところはあるから、足して二で割ればちょうど良いかもしれないよ。もっとも、向こうでも同じような会話はしてるだろうけどね」
「たしかにしてそうだな。こうして陣営としては分かれてるけど、元々は一つの存在ではあったからな」
「そうだね。そういえば、本物の私達から存在を奪う件はどうする? 奪えなかったら私はいずれ消えちゃうわけだし……」
「それが『コピーカメラ』の力の限界だからね。だけど、こうして君達が生まれてきたからには、何か良い方法を見つけて君達をこの世に留まらせてみるよ。元々はボクが彼らのような助手が欲しいと思って生み出した存在だけど、今となっては大切な家族のようなものだからね」
「……そうか。それなら、俺達もその思いには応えるとするか」
「そうだね。それじゃあそろそろ寝にいこっか、お兄ちゃん」
「だな。それじゃあおやすみ、『救い手』」
「お姉ちゃん、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
コピー兄妹が眠るために『救い手』の部屋から出ていった後、『救い手』は『サーチドローン』を見ながら少しはにかんだような笑みを浮かべた。
「……今のは少々ボクらしくのない事を言ってしまったかな」
『別に良いんじゃないか? お前にとって、あの二人はもうそういう存在になってるわけだからな。それに、『繋ぎ手』だって本当は人懐っこいところがあるし、言ってみれば今の発言もお前らしい発言なんだよ』
「……そうか。だけど、その言葉に偽りはないよ。だから、どうにかしてみせるさ」
『なら、俺達も全力で手伝うとするか。アイツらには俺達も世話になってるしな』
「ああ、頼んだよ」
『救い手』は嬉しそうな笑みを浮かべた後、『サーチドローン』達と会話をしながら手入れをし続けた。
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それでは、また次回。




