第87話 ワープペンダント 後編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「……っていう事があったなぁ」
話を終えて『繋ぎ手』が懐かしそうな顔をすると、『導き手』達の視線は『ワープペンダント』に注がれる。
「『ワープペンダント』がそんな事を……」
「というか、『ワープペンダント』ってそういうタイプの性格だったんだな」
「我らは道具との対話が出来ぬ故、このような機会でなければ知り得ぬ情報であったな」
「たしかに……そういえば、その急いでた人って結局なんで急いでたの?」
「なんかね幼馴染みの子が病院に入院していて、その子の面会時間を毎日同じ時間にしていたけど、その日は急に入った用事のせいでギリギリになってたからだったみたい。因みに、時間にはちゃんと間に合ったようだから心配はいらないよ」
「それはよかったです」
「その方とはその後も交流はあったのですか?」
「その日はすぐに私も帰っちゃったのでそれっきりです。だけど、またいつか何かの機会に会えたら良いなとは思ってますよ」
『繋ぎ手』が嬉しそうに笑うと、『導き手』と『探し手』も顔を見合わせながら笑う。
「その人が約束に間に合ったのはよかったね」
「だな。それに、俺達も『ワープペンダント』からワープさせても良い相手として認められてるのがわかったのもなんだか嬉しいかな。これまではあまりそういうのを意識してこなかったけど、『ワープペンダント』から認められてるっていう事を忘れずにこれからも仲良くしていきたい」
「うんうん、私達はこれからも度々お世話になるしね。『ワープペンダント』の姉御には」
「姉御って……くく、たしかに話を聞く限りだとちょっとそういうタイプに思えるかも」
「ふふ、そうですね。私も普段はちょっと怖くて勝ち気だけど、本当は世話好きで優しい姉御肌の女性という印象です」
「ふっ……やはりここの道具は個性的な者が多いようだな」
「そうですね。そんな道具達と共に生き、絆を深めている『繋ぎ手』さんはやはりすごいのだなと感じます」
各々がそれぞれの感想を述べる中、『繋ぎ手』はそれを聞きながら嬉しそうに微笑む。
「『ワープペンダント』の姉御、かぁ……ふふっ、たしかにそういうイメージにはなりそうかも。まあ、『コピーカメラ』が帰ってきた時にはだいぶ怒りそうだし、その気持ちはよーくわかるけど、ほどほどにしてあげてね、『ワープペンダント』」
『繋ぎ手』が『ワープペンダント』を指で摘まみながら言うと、『ワープペンダント』は照明の光を反射してキラリと輝いた。
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。




