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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第83話 ディテクティブモノクル 後編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

 銃口を向けながら『繋ぎ手』が近づく中、『導き手』は足を『サポートプラッシー』に掴まれた状態で敵意のこもった視線を『繋ぎ手』に向ける。


「く……たお、さなきゃ……けど、『繋ぎ手』はおれ、達の敵じゃなく大切な……な、仲間だから、倒したくは……」


 倒したいという気持ちと倒したくないという気持ちの間で『導き手』は『スイッチアームズ』を使おうとする手をどうにか止め、目の前で足を止めて銃口を眉間に突きつける『導き手』の虚ろな目を見つめた。


「……たぶん、話しかけても何も答えないよな。けど、なんだこの違和感……たしかに何も話さないっていうところも不思議だけど、いつもの『繋ぎ手』とこの幻影は何か決定的に違う気がする……」


 疑問を持ちながら『繋ぎ手』を見つめていた時、『導き手』はつけていた『ディテクティブモノクル』の能力を使用したが、すぐに驚いた様子を見せた。


「……なんだよ、これ……『繋ぎ手』の心の中が全部黒字の『私は道具』で埋め尽くされてる……!?」


 視えた物に『導き手』は驚きを隠せない様子だったが、すぐに合点がいった様子で頷いた。


「……コイツ、ただの幻影じゃなく、『繋ぎ手』にあり得た未来の一つなのか。それも感情を操る能力を相手じゃなく自分に使って、道具であると言い聞かせて感情を殺してしまった……」

「…………」

「……目は虚ろだけど、この『繋ぎ手』が悲しんでるのだけはわかる。でも、それはそうだ。『繋ぎ手』だって普通の人間なんだ。今はオーナーや俺達がいるけど、自分の両親と許嫁、許嫁の両親から関係存続のための道具として扱われたら悲しいし閉じ籠りたくもなるよな」


『導き手』は哀しげな笑みを浮かべると、眉間に突きつけられた拳銃を軽く避けた後、『繋ぎ手』を優しく抱き締めた。


「…………」

「大丈夫だ、『繋ぎ手』。もうお前は一人じゃない。オーナーや神様、妹やボスさん達がお前にはいるし、俺だってずっとそばにいる。だから、もう安心して良いんだ、『繋ぎ手』。俺達が、お前の事をこれからも守ってやるからな」


 その優しい声に『繋ぎ手』の目には少しずつ光が戻っていき、その目から涙が一滴流れると、二人は白い光に包まれていき、『導き手』は再び神達の目の前に立っていた。


「戻ってきた……」

「おかえり、『導き手』」

「おかえりなさいませ」

「あ、ただいま……それじゃあ俺は試練を突破出来たんですか?」

「うん、そうだよ。敵意を高められた中でもどうにかそれを堪え、許嫁から慰み物にされて両親や許嫁の両親からも道具として様々な事を仕込まれて心を閉ざした幻影を光の中へ導けた君の勝ちだ」

「そうですか……」

「因みに、ずっとそばにいるとか守るとか言ってたけど、『繋ぎ手』に対して恋愛感情みたいなのってある?」


 神からの問いかけに『導き手』は静かに首を横に振った。


「……わからないです。今のところは良い同僚で妹を除いたら一番仲の良い異性ではありますけど、今は妹の幸せを一番に考えてやりたいですし、そういうのはあまり……」

「そっか。でも、一番仲の良い異性だという認識はあって、少なくとも生涯をかけても守りたい相手であるのは間違いない。だったら、本当に『繋ぎ手』に恋愛感情を抱いたら、絶対に離さないであげてくれ。良いかな?」

「……はい、もちろんです」


 神からの言葉に『導き手』が真剣な表情で答えた後、神はにこりと笑ってから小さな球体を出現させた。


「さて、それじゃあ後は『探し手』が来てからだし、今は一緒に妹さんの応援をしようか」

「はい」


『導き手』が返事をした後、三人は球体に映る『探し手』の姿に視線を移した。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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