第83話 ディテクティブモノクル 前編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
転移を終えると、『導き手』は注意深く辺りを見回した。転移されてきたのは、周囲を客席のような物で囲まれた大きな広場のような場所であり、その光景に『導き手』は不思議そうに呟く。
「……ここは、コロシアムって奴か?」
『大正解だよ』
「わっ……か、神様……? もしかして念波みたいなので話しかけてるんですか?」
『その通り。ここは第二の試練の会場である特設のコロシアムで、ここでも君には戦ってもらうよ』
「……俺、戦ってばかりじゃないですか? まあ、それが試練だというならちゃんとやりますけど、今回は新しい道具との出会いって無しですか?」
『ううん、あるよ。今からそっちに送るからね』
その言葉と同時に目の前には小さな宝箱が現れ、『導き手』がそれを開けると、中には小さなモノクルが入っていた。
「これって……モノクル、だよな? 怪盗がつけてるイメージが強い……」
『そうだね。それは『ディテクティブモノクル』という名前で、つけた状態でそっちの目に意識を集中させると、相手のクセや感情を見抜ける上に相手が考えてる事を文字として視る事が出来るよ』
「なるほど……だから、探偵を意味する“Detective ”が名前に入ってるわけですね」
『そういう事。因みに、その『ディテクティブモノクル』は君が持ってる二つと相性は良いから、合わせて使ってあげてね』
「たしかに攻撃するわけじゃないから『ジーニアスミサンガ』の注意点には引っ掛からないし、『スイッチアームズ』で出した盾で守りながら相手の事を視ようとすればピンチから脱却出来るかもしれないな。
けど、これを使わないと勝てないような相手が今から出てくるわけですよね? 相手は一体誰なんですか?」
『それは今から出てくるよ』
神の言葉と同時に『導き手』の目の前には白い光の珠が現れ、それは人の形になっていくと、最後には剣と盾を持った『繋ぎ手』へと姿を変えた。
「え……あ、相手って……!?」
『そう。その『繋ぎ手』の幻影さ。因みに、容赦なく攻撃はしてくるし、君からの攻撃もちゃんと防いでくる。別世界に生きる色々な人の戦い方をインプットしてるから、中々手強いよ』
「それじゃあ、今回のクリア条件は『繋ぎ手』を倒す事なんですか?」
『ふふっ、それは教えられないなぁ。さあ、そろそろバトル開始だ。君の健闘を祈るよ、『導き手』』
楽しそうな神の言葉と同時に『繋ぎ手』の幻影は剣を構えながら『導き手』に向けて走り出した。
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。




