第79話 フォースコントローラー 後編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「あははっ、人生ってほんとチョロいなぁ……!」
辺りがすっかり静かになり、道行く人の姿すらまったく見かけなくなった夜更け、少女は『フォースコントローラー』を持ちながらニヤつく。
「これのおかげでガッコでも色々な奴らを奴隷に出来るし、根暗な男共の世間には見せられない姿を撮った写真もあるから、毎日小遣いも稼ぎ放題。ほんと、アタシって人生勝ち組じゃね? あははっ!」
少女が気持ち良さそうに笑い、暗い路地のそばを通ったその時、背後から黒いスーツ姿の男達が現れ、瞬く間に少女を後ろから羽交い締めにし、その口を手で塞ぐ。
「むっ……むぐぐっ!?」
「騒ぐなよ、クソガキ」
「騒いだらどうなるか……わかるよな?」
その言葉と同時に首元にナイフがあてがわれ、少女の手から『フォースコントローラー』がスルリと落ちると、後ろから現れた男性がそれを拾い上げる。
「これか……俺にあんな真似をさせたブツは」
「むぐ……!?」
「おい、口から手をどけろ」
「はい」
男性の指示で少女の口から手が離れ、『フォースコントローラー』を手にした男性が目の前にまわると、少女は男性を睨み付ける。
「アンタ……どうしてここに……!」
「よお、クソガキ。お前のせいで警察の厄介になっちまったが、ウチのボスに助けてもらったんだ。だから、てめえに教えてやりに来たんだよ。ガキのくせに人生ナメくさるとどうなるかってな」
「くっ……」
「まずは……これだな」
そう言いながら男性はスーツのポケットから中身が入った注射器を一本取りだし、暴れる少女を押さえながら腕に突き刺すと、その中身を体内に注入する。
「ぐっ……あ、あ……? あ、頭が……ふ、ふわふわして……!?」
「ちょっとオクスリを打たせてもらった。てめえにはウチがやってる非合法の店で金と女にしか興味の無い薄汚ねぇ親父共の相手をしてもらうんでな。よかったなぁ、その歳でだいぶ色々な親父の味を知る事が出来るぜ?」
「だ、誰がそんな事を……」
「そしてダメ押しでコイツだな」
男性が『フォースコントローラー』を少女へ向けてボタンを数回押すと、少女の体はダランと脱力し、目は血走り口からは泡が吹き出し始めた。
「ぐぶ……な、なんだこれ……」
「おっと……コイツは何度も押しちゃ不味かったか。まあ良いさ、これからお前にはウチで億稼ぐまで色々な奴の相手をしてもらうからな。クスリを使ったのを好む奴から首を絞めながらが好きな奴……様々なイカれた奴にこれからたくさん愛してもらいな」
「い、イヤだ……」
「さて……コイツはこれ以上持ってても仕方ねぇし置いていくか。おい、行くぞ」
「はい」
「わかりました」
男性に促されて恐怖と絶望で涙を浮かべる少女を他の男性達が連れていった後、そこに『救い手』達が現れる。
「……まあ、当然の結果かな」
「そうだな。前の奴みたいに何かきっかけがあって改心出来ていたら変わってたかもしれないけど、元から悪意に満ちていたみたいだし、悪意と邪念を高めなくても無理だったろうな」
「うん、私もそう思う。怖い物知らずを気取ってもっと怖いものに拐われて行ったわけだし、もうまともな生活には戻れないだろうね」
「そうだね。クスリを打たれてる事もあるけど、『フォースコントローラー』を重ねて使われた事による拒否反応で脳がだいぶやられてしまっているから、たとえ助け出されてももう二度まともな生活は出来ないだろう。さて、それじゃあボク達は帰ろうか」
「ああ」
「うん」
『フォースコントローラー』を拾い上げた後、三人は出現させた赤い渦の中に入り、そのまま静かに姿を消した。
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。




