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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第79話 フォースコントローラー 中編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

『救い手』達と別れて数分後、少女は街中を歩きながらすれ違う人々を見てニヤリと笑う。


「さーて……まずは何をしてやろうか。この『フォースコントローラー』で」


 少女の視線は手の中にある小さな白いリモコンに注がれており、少女の笑みは悪意に満ちた邪悪な物だった。


「この『フォースコントローラー』はやらせたい事を思い浮かべながら先を誰かに向けてボタンを押したら、そいつに命令を強制出来て、それが終わるまでそいつは体の自由が効かなくなるらしいし、色々やらせてもらおうかな」


 ニヤつきながら歩いていた時、少女は前方から歩いてきた男性と衝突した。男性は見るからにガラの悪そうな格好をしており、その光景を目撃した通行人達はハッと息を飲んだが、少女は怯える様子すら見せずに男性を正面から睨み付ける。


「おっさん、ちゃんと前向いて歩けよ」

「あ? ぶつかってきたのはテメェだろうが、このガキが!」

「ちっ……イラつくおっさんだな。だったら、アタシに逆らったらどうなるかわからせてやらないといけないね」


 そう言うと、少女は『フォースコントローラー』を男性へ向けながらボタンを静かに押した。すると、少女を睨み付けていた男性の手がゆっくりと動き出し、それに対して男性が驚く中、男性の手はスーツのボタンを一つずつ外し始めた。


「なっ……て、手が……勝手に……!?」

「アタシに逆らうから、アンタに命令をしたんだよ。この街中で服を全部脱いでその辺を走り回ってこいって」

「ふ、ふざけんな……! だ、誰がそんな事を……!」

「そう言いながらも手は止まって無いじゃないか。ほらほら、もうボタンも全部外れたし、今度はそのワイシャツの番だよ」

「ぐっ……!」


 男性はどうにかして手を止めようとしたが、男性の意思を無視して手はワイシャツのボタンを外し始め、悔しさと怒りで顔を赤くする男性を見ながら少女は楽しそうに大声で笑い始めた。


「あははっ、良い気味だね。アタシをガキだと思ってナメたバチが当たったんだ」

「……テメェ、こんな真似をしてただで済むとおもうなよ……」

「そんな格好で言われても怖くもなんともないんだよ。さて……面白い物を見られたし、そろそろ行こうかな。じゃあね、おっさん。走り回ってきたら命令は終わりだから、それまで注目を浴びながら運動してきなよ」


 そう言って、少女は目の前の光景を恐ろしそうな目で見る通行人達の中を勝ち誇ったような笑みを浮かべながら歩き去っていったが、ワイシャツのボタンを外し終えてズボンのベルトに手を掛けていた男性の目の奥には怒りと憎しみ、悪意と殺意の光が宿っていた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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