第76話 チャージドラム 後編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「ふぅ……今日も疲れたなぁ」
綺麗な夕焼け空が広がり、夕日が街をオレンジ色に染めるある日の夕方、少年は満ち足りた様子で歩いていた。
「今まではこうやって帰る時には疲れ果ててため息ばかりだったのに、今ではこうして楽しく帰る事が出来てる。これも全部『チャージドラム』のおかげだな。
あれを朝に使った日は、一日中元気と気力が沸いてくるし、授業中でもうとうとしなくなって部活にも集中出来たから友達や先生からは驚かれてるし好きになってくれた子も出来た。本当に『チャージドラム』があってくれて助かったな」
少年が嬉しそうに言っていたその時、反対側から『繋ぎ手』達が歩いてくるのが見え、少年は嬉しそうに近づいていった。
「君達!」
「あ、この前の」
「一応、『チャージドラム』から元気そうだっていうメッセージは貰ってたけど、あれからどうだ?」
「ああ。『チャージドラム』を朝に使った日は、一日中元気と気力が沸いてきたし、授業でもうとうとしなくなって部活にも集中出来たから友達や先生からは驚かれてるし好きになってくれた子も出来たんだ。今度、二人でデートをする予定だよ」
「わぁ……そうなんですね」
「これまでの俺だったらこんな事はあり得なかった。『チャージドラム』と出会わせてくれて本当にありがとう」
「どういたしまして。でも、それは君自身がその元気と気力をちゃんとした事に使えてるからでもあるんだよ。悪さに使っても色々出来ただろうけど、ちゃんとした生活を送るために使ったから、周りからは感心されて恋人にも恵まれた。だから、これからもその姿勢を忘れずにあの子と付き合っていって欲しいな」
「もちろんだ。こんなにも良い生活を送らせてもらえてるからには、それくらいするのが当然だからな」
少年の顔はとても晴れやかであり、その姿を見た三人は安心したように微笑みながら頷き合う。
「うん、ありがとう。それじゃあ私達はそろそろ行くね。他の子にも興味が湧いたら、ウチのお店まで来てみて。『チャージドラム』を使った日なら、ウチのお店まで来られる道もわかるはずだから」
「ああ、時間が合えばそうさせてもらうよ。それじゃあまたな」
「ああ、またな」
「またね、お兄さん」
そうして少年と別れ、三人は再び歩き始めると、『繋ぎ手』は歩いていく少年を振り返りながら嬉しそうに微笑んだ。
「彼は本当に大丈夫みたいだね」
「だな。出会った時よりもすごく良い顔してたし、あのままで大丈夫そうだ」
「やっぱり元気と気力がある分、考え方や行動も変わってくるのかもね」
「そうだね。そしてその姿に触発されて周りにも元気や気力が伝播して、良い雰囲気になっていく。私達もそうありたいね」
「ああ。よし、それじゃあ帰ろうか。そろそろ晩飯の時間だから、早く帰って作らないといけないからな」
「うん」
「はーい」
二人が返事をした後、『繋ぎ手』達は並んだままで家である『不可思議道具店』へ向けて歩いていった。
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それでは、また次回。




