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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第76話 チャージドラム 前編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

「……今日も疲れたな」


 どんよりとした曇り空が広がる夕方、学生服姿の少年はため息をつきながら通学路を歩いていた。


「最近、スゴく疲れてる感じがするな。授業中もうとうとする事が多くて、陸上部でも良い成績を修められない。このままじゃ良くないのはわかるけど、良い方法は思いつかないし……はあ、どうしたら良いんだろうな」


 暗い表情でため息をついていたその時だった。


「そこの君、ちょっと良いかな?」

「え……」


 背後から突然聞こえてきた声に立ち止まり、ゆっくりと振り返ると、そこにはにこにこと笑うセーラー服姿の少女と学生服姿の少年、そして白いパーカーに緑色のスカート姿の少女の姿があった。


「……お前達は?」

「私達は道具と人間の橋渡し役とその助手君達だよ。ところで、なんだか辛そうだったけど、何かあったの?」

「……一応な。最近、スゴく疲れてる感じがしてて、授業中もうとうとする事が多くて、部活の陸上部でも良い成績を修められないんだ」

「疲れか……うん、どうやらいるみたいだ。『繋ぎ手』、ちょっと鞄の中を見せてくれるか?」

「うん、もちろん」


『繋ぎ手』が返事をして鞄を降ろした後、『導き手』は中に手を入れ、小さな赤いでんでん太鼓を取り出した。


「でんでん太鼓……そういうのを使うような年じゃないんけど……」

「これは普通のでんでん太鼓じゃないよ。この子は『チャージドラム』っていう名前で、この子を振って音を鳴らし続ける事で自分の中に元気や気力がどんどん貯まっていき、必要なくなったらそれを頭の中にもう大丈夫だよって教えてくれるんだ」

「なるほど、だからそういう名前なのか」

「そういう事。そしてこの子は君にプレゼントするよ。大切にしてあげてね」

「え、良いのか?」

「この子は店頭に並べられなかったりこうして渡しても良いって言われてる子達なので大丈夫なんです」

「そうか……それじゃあありがたくもらっておこう。どうもありがとう」

「どういたしまして」


『繋ぎ手』が微笑みながら答えていると、『導き手』は『チャージドラム』を見ながら『繋ぎ手』に話しかけた。


「ところで、これには何か注意点ってあるのか?」

「うーん……これといってはないかな。ただ、なんでもかんでも頑張ろうとして貯めすぎようとすると、元気や気力があっても体がついていけなくなるかもしれないから、強いて言うならそれかな」

「たしかにな……わかった、それは気を付けるよ」

「うん。それじゃあ私達はそろそろ帰るよ。その子、大切にしてあげてね」

「ああ、またな三人とも」

「ああ、それじゃあまた」

「またね、お兄さん」


『繋ぎ手』達が去っていった後、少年は手の中の『チャージドラム』に目を向けた。


「……不思議な物をもらったな。だけど、これでうまく行くかもしれないなら、まずは頼ってみよう」


 独り言ちながら頷いた後、少年は『チャージドラム』をポケットにしまい、再び家へ向けて歩き始めた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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