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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第75話 クリエイターメモ 前編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

 現世から隔絶された空間に建つ世にも不思議な道具を扱う『不可思議道具店』の店内では、『探し手』が『アルケミーボトル』から芳醇な香りの緑茶を飲みながら兄である『導き手』と談笑し、その様子をカウンターから『創り手』が微笑ましそうに見ていた。


「あなた達は本当に仲が良いわね」

「はい、妹がもっと小さかった頃は両親も妹ばかり構っていて寂しいなと思った事もありましたけど、俺にとって大切な妹なのは変わりませんから」

「私もお兄ちゃんは大切です。今となってはたった一人の肉親ですし、これからも大切にしていきます」

「……そう。こう言ったらなんだけど、あなた達が羨ましいわ。私にも『繋ぎ手』にももう肉親はいないから、そうやって大切にし合える肉親がいる事が良いなと思えるもの」

「そういえば、オーナーも同じように過去を捨ててここにいるんでしたね」

「ええ、そうよ。あの子と同じで自分の能力に人生を変えられてね。あの頃はまだ私も小さかったし、自分の能力がどれだけの事を引き起こすかを理解しきれてなかったのよ」


 二人に語る『創り手』の表情は寂しげで暗く、その表情から二人が『創り手』の過去と抱えている悔恨が自分達が予想している物よりも深刻である事を悟っていた時、『探し手』はふとカウンターに置かれた一冊のノートに視線を向けた。


「お姉さん、そのノートは?」

「え……ああ、これね。これは『クリエイターメモ』という名前で、私が能力を使って“初めて”作った道具なのよ」

「オーナーが初めて作った道具……」

「そう。能力が発現して初めて作った思い出の道具で、それ以来ずっと私のそばにいてくれる相棒よ。言うなれば、『探し手』さんにとっての『アルケミーボトル』、あの子にとっての『コピーカメラ』みたいなものね」

「そうなんですね」

「因みに、どんな道具なんですか?」

「この道具に関しては完全に私専用で、私がこれまでに思い付いた道具の詳細や材料などが自動で書き込まれ、もしも作った道具が誰かの手に渡ったら、現在の持ち主の名前もここに記載されるの。

 だから、『アルケミーボトル』のページには『探し手』さんの本来の名前も記載されていたんだけど……過去を捨てた事でそこは今向こうで名乗っている名前が記載されてるわ」


『創り手』の話を聞きながら二人が興味深そうにしていると、『探し手』はふとある事を思い付いた様子でクスリと笑った。


「そうだ……せっかくだから私もあの子みたいに過去を話しましょうか」

「え、良いんですか?」

「良いわ。『救い手』がきっかけとはいえ、あの子もあなた達に過去を話したんだから、私だって話しておきたいの。この『クリエイターメモ』が出来た時や私がここに来る事になった経緯をね」


 そう言いながら寂しげに笑った後、『創り手』は静かに話し始めた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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