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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
221/317

幕間

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

『不可思議道具店』の店内で『繋ぎ手』達が話をしていた頃、喫茶店の店内ではカウンター席に座る『救い手』がのんびりとし、その横に座るコピー兄妹は少し不安そうな表情を浮かべながらのんきそうな『救い手』の姿を見ていた。


「……なあ、『ジャッジメントネックレス』を渡して本当に良かったのか?」

「そうだよ。ただでさえ、『ジーニアスミサンガ』も向こうにあるのにもう一つ道具を渡したら本物の私達が何かしてくるんじゃない?」

「大丈夫だよ、君達。今頃、『不可思議道具店』ではボク達の事や彼女の事について話しているだろうけど、彼女の事について話してしまったらしばらくは彼らも関係がギクシャクした物になるだろうからね」

「……どういう事だ?」

「先日、『導き手』にも話したように彼女の過去は中々壮絶だ。両親は許嫁を決めてしまっている上に彼女をその家との関係維持の道具としか見ず、許嫁も中々性格に難があった。そして幼い頃に許嫁との夜伽を強制された事でボクが発現し、その結果として二つの家の当主同士はいがみ合ってるのに母親達はまだ高校生である元許嫁君との間に子供を作ってしまっている。

そんな過去を持った彼女を君達の本体は受け止めようとするけれど、彼女自身は未だに過去に囚われて二人とも少し距離を置こうとするはず。だから、大丈夫なんだよ。彼らもそんな状態でボク達のところへ来たとしても目的に集中出来ないだろうからね」

「それじゃあそういう狙いもあって、『ジャッジメントネックレス』を渡したの?」

「いや、違うよ。彼女の性格と心の傷を考えたらそうなるだろうなと今考えていただけだからね。ただ、その過去を乗り越えてまた誰かを心から好きになれないと、彼女は一生救われないし、ボクも彼女と会う気はない。何となくだけどわかったんだ。ボクがこうして彼女の姿でここにいるのは、ボクという過去を乗り越えさせるためだとね」


 クスリと笑いながら『救い手』は言っていたが、その表情はどこか哀しげであり、その姿にコピー兄妹が何も言えずにいると、静かに話を聞いていたマスターは小さく息をつく。


「なんだか彼女も可哀想だね。その過去を乗り越えるという事は、その時にあった事を再び受け止めないといけない事になるからね」

「ああ、そうさ。だけど、君達の本体がいればきっと彼女は過去を受け止められる。だから、その時までボクは待ち続けるけど、果たしてそれはいつになるかな」

「けど、このままずっとその時が来ないっていう考えでは無いんだな」

「うん。同じように親類縁者から酷い目に遭わされてきたという共通点がある上に彼女の事を放ってはおけないだろうからね。それに、『繋ぎ手』が彼らを気に入っているようボクも彼らを気に入っているんだ。

 だから、彼女の心の傷を癒し、苦しみと悲しみで出来た汚泥の中から彼女を引っ張りあげて纏わりついているそれを洗い流して本当の彼女を見つけ出せるのは彼らしかいない。ボクはそう信じてるよ」

「そうか……」

「もうそれならそれでも良いけど、私達だってこうして生み出されたからには……」

「ああ、もちろん良いとも。彼らにも君達と決着をつけるだけの覚悟を決める時が必要だからね。好きなようにやってくれて良いよ」

「わかった」

「うん」


 コピー兄妹が頷いた後、『救い手』は満足そうに頷きながら飲み物を一口飲み、他に誰もいない店内でコピー兄妹やマスターとの一時を楽しんだ。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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