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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第70話 ジャッジメントネックレス 中編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

「ふむ……たしかに『救い手』の言葉には嘘は無さそうね」


 現世から隔絶された空間に建つ『不可思議道具店』の店内で『創り手』は『探し手』の首にかけられた『ジャッジメントネックレス』を視ながら呟く。それを聞いた『探し手』はホッとしながら胸を撫で下ろしていたが、その様子を見ていた『繋ぎ手』は複雑そうな表情を浮かべた。


「……これで、私の能力の具現体である『救い手』は本当に妹ちゃんと『ジャッジメントネックレス』を出会わせたかっただけっていうのが証明された事になるけど、妹ちゃんも思ったようにこれだと得をするのは私達だけだよね?」

「そうだな。つけている奴の洞察力や観察力、判断力を格段に上げるっていう物らしいけど、そんなのをあげたら自分達の居所も簡単に探り当てられるはず。それなのに『ジャッジメントネックレス』がうちの妹に興味を持ったからっていうだけで渡していったのはちょっとな……」

「アジトがバレても問題ないって思ってるのか『ジャッジメントネックレス』の力を用いてもわからない場所にアジトがあるのかわからないけど、これで私達がまたちょっと有利になったのは間違いない。とりあえず『ジャッジメントネックレス』に頼る時が来たらその時はちゃんと力を借りましょう。後は『救い手』達の行方だけど……たぶん全員に心当たりがあるのよね」


『創り手』のその言葉に『繋ぎ手』と『探し手』が浮かない表情で頷く中、『導き手』だけは表情を暗くしており、その様子に『繋ぎ手』は不思議そうに首を傾げる。


「お兄さん、どうかしたの?」

「……いや、なんでもない」

「なんでもないって顔には見えないけど……妹ちゃん、お兄さんは何か隠してる感じする?」

「……うん、確実に隠してる事があるみたい」

「……それだけ話しづらい事なのはわかるけど、出来れば話してほしいわ。もちろん、無理強いはしないけど……」


『創り手』の言葉に『導き手』は観念したようにため息をつく。


「……わかりました。でも、話せない事もありますから、それだけは勘弁してください」

「わかったわ。それで、何を隠していたの?」

「……この前、『繋ぎ手』とウチの妹が『幸呼笛』の件に関わっていたあの日に俺は『救い手』やコピーの俺達に会ってたんです」

「え……」

「そうだったのね。けど、こうして無事でいるって事は、特に向こうは危害を加えるつもりがなかったって考えて良いのかしら?」

「少なくともあの時はそうだったみたいです。『救い手』は俺の事を気に入ってるって言ってて、その時に『導き手』ってこれからは呼ぶ事にすると言われました。その後、俺は『救い手』から『繋ぎ手』に関するある事を聞き、それが終わった後はまっすぐ帰ってきました」

「お姉ちゃんに関する事……お兄ちゃん、それって何なの?」

「それは……」


『繋ぎ手』が表情を暗くする中、『導き手』は申し訳なそうな表情で口を開いた。


「……『繋ぎ手』が異性に恋愛感情を持てない理由だよ」

「…………」

「そういえば、前にそんな事を聞いた事があった気がする。理由まではわからないけど……」

「『救い手』は俺なら『繋ぎ手』を救ってまた家族を作ってやれるって言ってたし、また誰かを好きになれるようにしてやってほしいって言ってたんだ。正直、そこまでの力が俺にあるとは思えないけど、もしも本当にそれが可能ならそうしたい。『チャームパフューム』の時の『繋ぎ手』の目の暗さは明らかに過去に何かあったからとしか思えなかったからな。オーナーはどうしたら良いと思いますか?」

「……そうね。私もそろそろこの子がその呪縛から解放されても良い頃だと思う。でも、それはあくまでも私達の思いで、この子自身の思いじゃない。だから、本人が望まないなら私もやらない。全ては『繋ぎ手』次第よ」


『創り手』が哀しそうに言い、三人の視線が『繋ぎ手』に集中すると、『繋ぎ手』は小さくため息をつく。


「……まったく、『救い手』は余計な事をしてくれたよね。でもまあ……『救い手』がそうなように私も異性の中ではお兄さんが一番のお気に入りだから、『救い手』が託したのもわかる気はするよ」

「『繋ぎ手』……」

「それじゃあ今度は私の口から話そうかな。私が異性や他人を好きになれなくなった理由、そして一人の女の子から『繋ぎ手』という存在になった経緯を」


 哀しそうに笑った後、三人が見つめる中で『繋ぎ手』は静かに口を開いた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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