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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第70話 ジャッジメントネックレス 前編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

「ふぅ……これでお買い物は終わりっと。少し重たいけど、これくらいなら平気だし、早くお家に帰ってお兄ちゃん達に褒めてもらおっと」


 綺麗な夕焼け空が広がり、カラスの鳴き声も聞こえてくる夕方頃、助手の少女は両手に一つずつビニール袋を持ちながら一人帰路に着いていた。

背負っているナップサックには財布や携帯電話、そして兄から受け取った『アルケミーボトル』が入っており、チラリとナップサックに目をやって助手の少女は嬉しそうに笑う。


「やっぱり『アルケミーボトル』が近くにあると安心するなぁ。こうして元気に歩いたり買い物の手伝いが出来たりするのもお兄ちゃんが『アルケミーボトル』を持ってきてくれたからだし、私にとってはもう相棒みたいなも──」

「おや、珍しい出会いがあったものだね」

「……えっ?」


 前方から聞き覚えのある声が聞こえ、助手の少女が視線を前に戻すと、そこにはフードを被らずに立っている『救い手』の姿があった。


「貴女は……!」

「お久しぶりだね、本物の妹ちゃん。お兄さん、『導き手』君は元気かな?」

「『導き手』……?」

「ボクは彼をそう呼んでいるのさ。因みに、ボクは彼女が『繋ぎ手』と呼んでいるのと同じで『救い手』と名乗っている。だから君もボクを遠慮なく『救い手』と呼んでくれたまえ。ボクは君を『探し手』と呼ぶからね」

「……どうして私は『探し手』なの?」

「道具と縁者の縁の綱を視認して双方を導く彼のように君は道具と縁者から発させられる相性の良さを表すモヤを視認出来て、その高相性のモヤを出している相手を“探して”引き合わせる。だから、そう呼ぶ事にしたんだよ」

「……そっか。それで私に何か用? 今から私を捕らえて人質にしようとしてるなら……」


『探し手』が警戒した様子を見せると、『救い手』は笑みを浮かべながら首を横に振る。


「いいや、そんなつもりはないよ。ただ、君に興味がある子がウチにいたから、会わせたかったんだよ」

「私に興味がある子……?」

「そうさ」


『救い手』は頷いてからリュックサックに手を入れると、中から中心にダイヤモンドがついた銀色のネックレスを取りだし、『探し手』へと手渡した。


「綺麗なネックレス……」

「これは『ジャッジメントネックレス』という名前で、つけてる間は洞察力や観察力、判断力が格段に上がり、相手が嘘をついていたり何かを隠していたりしたらすぐにわかるという物さ。敵に塩を送るような物だけど、君にプレゼントするよ。大切にしてあげてくれ」

「……何のつもり? もしかして何かまだ隠してるの?」

「いや、何も。『ジャッジメントネックレス』が君に興味があってどうやら相性も良さそうだからあげたいと思っただけさ。まあ、これといった注意点もないし、強いて言うなら手入れだけはしっかりとしてあげてほしいくらいかな」

「……それはわかった。でも、私に『ジャッジメントネックレス』をくれたって何も得は無いよね? むしろ私が道具とうまく協力出来たら自分達が不利になる。それなのにどうして?」


『探し手』からの問いかけに『救い手』は微笑みながら答える。


「そんなの決まっているよ。それが道具の望みだからさ」

「道具の望み……」

「ボクも道具達と会話が出来るし、道具達が望む事は出来る限り叶えてあげたい。その望みが今回は君との出会いだった。それだけさ」

「……わかった、信じるよ。とりあえずありがとう」

「どういたしまして。それじゃあボクはそろそろ行くよ。本体のボクや『創り手』、『導き手』にもよろしくね」


 そう言って『救い手』が去っていくと、『探し手』は手の中にある『ジャッジメントネックレス』を見た。


「……まさか私が道具と引き合わされる事になるなんてね。色々な事があってまだ受け止めきれてないけど、とりあえずこれからよろしくね。『ジャッジメントネックレス』」


『探し手』からの言葉に答えるかのように『ジャッジメントネックレス』は夕日を反射し、『探し手』はクスリと笑ってから『ジャッジメントネックレス』をひとまずポケットに入れ、そのままゆっくりと歩き始めた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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