第67話 アテンションスター 後編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「……ふぅ、今日も学校疲れたなあ」
カラスの鳴き声が響き渡り、空が綺麗な夕焼けに染まった夕方頃、学生服姿の少年は心地よい疲れを感じながら一人帰路に着いていた。
「……うん、やっぱりこういう疲れなら良いかもしれない。『アテンションスター』のおかげで出会えた子に誘われて入った演劇部でもやりがいを感じられてるし、その子とは恋人同士にもなれた。
それに、『アテンションスター』にも手伝ってもらいながらクラス委員としての役目もこなせてる。本当に『アテンションスター』に出会えて良かった」
首から提げている『アテンションスター』の星を指で軽く弾きながら少年が微笑んでいたその時、反対側から手を繋ぎながら歩く『繋ぎ手』と助手の少女の姿が見え、少年は嬉しそうに微笑みながら二人へと近づいた。
「おーい、君達ー!」
「……あ、この前の。こんばんは、なんだかすごく元気そうだね」
「もしかして『アテンションスター』でうまく行ったんですか?」
「うん、そうだよ。貰った次の日に出会った子に誘われて入った演劇部も楽しいし、その子とは恋人同士になれた。それに、『アテンションスター』の力を借りながらだけど、少しずつクラス委員として自信もついてきた。本当に『アテンションスター』に出会えて良かったよ。ありがとう」
「どういたしまして。『アテンションスター』もだいぶ君の事は気に入ってるようだし、橋渡し役としてとても嬉しいよ」
『繋ぎ手』が嬉しそうに微笑む中、少年は何かを思い出した様子でポンと手を打ち鳴らす。
「そうだ……少し前に街で君に似た人を見かけたんだけど、もしかして姉妹だったのかな?」
「私に似た人……その人って黒いパーカーのフードを目深に被ってたりした?」
「うん、そうだけど……その感じだと何か事情がありそうだね」
「そうなんです……お姉ちゃんに似た人はどうやら私達と同じく道具を渡してるみたいなんですけど、出会った人は悪事を簡単に働けるようになるみたいで……」
「そうだったんだね。それじゃあ僕も気をつけるようにするよ。僕自身、あまり悪い事はしたくないし、彼女を悲しませたくもないからね」
少年の言葉に『繋ぎ手』は嬉しそうに頷く。
「うん、ありがとう。それじゃあ私達はそろそろ帰るね。もしも他の子達にも興味が出てきたら、遠慮なくウチのお店に来てみてね。『アテンションスター』にお願いしたらお店までの道を教えてくれるから」
「わかった。それじゃあ二人とも、またね」
「うん、またね」
「お兄さん、また会いましょうね」
そして『繋ぎ手』と助手の少女は少年と別れると、そのままゆっくりと歩き始めた。
「相変わらず見つからないよね、お姉ちゃんの能力の具現体さん……」
「こっちには好きなタイミングで会いに来れるみたいだけどね。ただ、会った時にどうにか出来るようにこっちも準備はした方がいいかな」
「そうだね。それじゃあ早く帰ろうか、お姉ちゃん。お兄ちゃん達も待ってるからね」
「うん、そうだね」
『繋ぎ手』と助手の少女は顔を見合わせて笑いあった後、手を繋いだまま夕焼け空の下を歩いていった。
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。




