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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第52話 スリープフラッフ 中編

どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。

 窓から暖かな陽の光が差し込み、黒板にぶつかるチョークの音と教師の話す声だけが教室内に響く中、授業を受けていた少年は思わず欠伸をしてしまっていた。


「ふあ……やっぱり眠いな。体育みたいに体を動かす授業なら眠くはならないけど、今みたいにただ座って話を聞いたり時折問題を解いたりするだけなのはどうにも眠くなるな……」


 訪れたまどろみの中で少年はどうにか眠らないよにしていたが、それとは逆に眠気は徐々に強くなり、目蓋も何度も閉じそうになっていたため、少年の顔にも少しずつ諦めの色が浮かび始めた。

しかし、少年は何かを思い出したような表情を浮かべると、机の横に掛けていたバッグから一つの像をこっそり取り出した。


「……ちょっとコイツに頼ってみるか。この『スリープフラッフ』に息を吹き掛ければ、俺の中の眠気がコイツに入って、綿毛みたいな物になって飛んでいくって言ってたし、ささっとやってしまうか」


 少年は頷いた後、『スリープフラッフ』を持った状態で下を向き、静かに息を吹き掛ける。すると、『スリープフラッフ』はぼんやりと白い光を放ち、それに少年が驚いている内に表面に小さな光の綿毛を作り出すと、それらをゆっくりと飛ばし始めた。

『スリープフラッフ』から飛び立った光の綿毛は外からの風にのってふわりと舞い上がりながら教室中に広がると、何人かの生徒と教師の肩や背中に当たり、そのまま身体の中に入り込んでいった。


「……眠気の綿毛が入っていった。それじゃあもしかして……」


 少年が呟いたその時、綿毛が入っていった生徒達は欠伸をしたり目を掻いたりし始め、教師も手で隠しながら眠たそうに欠伸をした。


「ふあぁ……ああ、すまないな。昨夜、少し遅くまで起きてたからつい欠伸が……」

「あははっ、先生ったら」

「せんせー! 遅くまで起きて何してたんですかー?」

「もしかして俺達生徒には言えないような事をしてたり観たりしてたんですかー?」

「そういうのじゃない。普通に授業の準備や昨日の授業での一人反省会だ」

「でも、本当はー?」

「本当にそれだ。ほら、授業の続きをするぞ」


 教師の言葉に生徒達が返事をし、授業が再開すると、その様子を見て少年は驚きながらも面白そうにニヤリと笑った。


「これはすごいな……俺の眠気はすっかりなくなって、普段は授業中に欠伸なんてしない先生すら欠伸をするんだし、この『スリープフラッフ』の力は本物だ。よし……これからも度々お世話になろう」


 少年は『スリープフラッフ』を見て笑った後、そのままカバンへと戻し、スッキリとした頭で授業に意識を向け始めた。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それでは、また次回。

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