第49話 ラブレンズ 中編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
白い雲が幾つか浮かび、空で太陽が煌めく朝、少年は静まり返った家の中で一人朝食を食べていた。
「……さて、ガッコはまだ始まらねぇみてぇだし、今日も好き勝手に過ごすとするか。親父とお袋も夜まで仕事で帰らねぇし、適当な女を捕まえてウチまで連れてくるのも悪くないが、もう少し何か欲しいところだな……」
独り言ちながら顎に手を当てて考えていた時、少年は机の端に置いていた小さなケースに目をやり、ニヤリと笑ってからケースを手に取った。
「そういや、おもしれぇ物を手に入れたんだったな。たしか『ラブレンズ』って名前で、これをつけた状態で女と目を合わせればソイツを俺の虜に出来るとかなんとか。
ただ、どんな女が引っ掛かっても文句は言えなくてこの『ラブレンズ』のせいには出来ないって言ってたが、相手を選べば問題はねぇな。んじゃあ、早速つけてみるか」
少年はケースの中から『ラブレンズ』を取り出し、ゆっくりとつけていくと、あまり落ち着かない様子で辺りを見回し始めた。
「……度は入ってないみたいだが、目の中に何か入ってるっていう感覚はなんだか違和感があるな。まあ、それくらいは慣れちまえば問題ないか。さてと、さっさと飯を食って街で女漁りでも……」
そう言いながら再び朝食に手をつけようとしたその時、玄関のチャイムが鳴り、少年はめんどくさそうに玄関へ向かった。そしてドアを開けると、そこには大きな胸を見せつけるように胸元が大きく開いた服を着た女性が立っており、少年が出てきた事に女性は驚いた様子を見せた。
「え……あ、貴方は……?」
「俺はここに住んでるもんですけど、もしかしてウチの親父にでも会いに来ました?」
「親父……ああ、あの人の……息子、さん……」
女性は少年の顔を見ながら納得顔で答えていたが、次第にその表情には恥じらいと好意の色が浮かび出し、その様子を見た少年は一瞬驚いたもののすぐにニヤリと笑った。
「あれ、お姉さん……もしかして俺に惚れちゃいました?」
「そ、そんな事はないわ……私にはあの人が……」
「そう言いながらもなんだか俺の顔を見れなくなってるじゃないですか。それで、ウチには何の用で来たんですか?」
「わ、私は……あの人から今日は奥さんもいないからここに一度集まってどこかに行こうって……」
「なるほど。だけど、親父はいないですよ。たしかに休みだったみたいですけど、さっき急に会社から連絡が来て急いで出掛けていきましたから。お姉さんの携帯に連絡来てません?」
「連絡……あ、来てるわね。でも、あの人がいないなら……」
女性は帰りたそうな素振りを見せたが、少年の顔を見ながらどこか名残惜しそうな雰囲気を出しており、少年はイヤらしい笑みを浮かべると、女性の手をスッと握った。
「えっ……」
「それなら俺と遊びません? 大丈夫ですよ、親父には言いませんし、お姉さんだってそういうのをしたくてたまらないでしょ?」
「で、でも……」
「俺なら親父よりも満足させられる自信があります。だから……今日は俺と遊びましょう。お姉さん」
「……わかったわ」
女性は諦めと期待を宿した目で少年を見ながら答えると、少年は嬉しそうに笑いながら女性を家の中へと入れ、女性の腰に自身の手を回してから玄関のドアを閉め、鍵をしっかりと閉めた。
いかがでしたでしょうか。
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それでは、また次回。




