第47話 ジャスティスカード 中編
どうも、伊達幸綱です。それではどうぞ。
「ふあ……今日も眠いが、学校の風紀を守るためにも今日も生徒達を取り締まらないとな」
よく晴れた日の朝、男性教員は校門の前に立ち、欠伸をしながらも登校してくる生徒達の様子に目を光らせた。
しっかりと制服を着用している生徒もいれば、着崩したり禁止されているようなアクセサリーをつけている生徒もおり、男性教員は生徒達に挨拶をしながら校則違反をしている生徒には注意を促していた。
そして、校門前でのチェックを続ける事数十分、スカートの長さが規定に違反している女子生徒が見えると、男性教員はため息をついてから校門を通ろうとした女子生徒に声をかけた。
「おい、その短さは違反だぞ」
「……ウザ。別に制服の着方くらいどうでも良いでしょ。もっと取り締まるべき生徒がいるんだから、そっちに構ったら?」
「そっちはそっちでやる。今は自分が注意されているんだから、話をそらそうとするな」
「……そういうのほんとウザい。アタシ達が制服を着崩したり改造したりして誰か困るの? 困るとしてもアタシ達本人しか困らないんだし、一々細かい事言ってこないでよ。それとも、スカートが短いからってアタシ達を変な目で見てるの?」
「なっ……!?」
「だとしたらほんとキモい。教師のくせに生徒をイヤらしい目で見てるとかありえないし、気持ち悪いから止めてくれない? アンタみたいな暑苦しくてブサイクな男からそんな目で見られてるって考えただけで寒気がする」
「こ、こいつ……!」
女子生徒の言葉に男性教員が怒りを覚えたその時、男性教員はふとある物を思いだし、着ていたジャージのポケットから金色のカードを取り出した。
「……そうだ、この『ジャスティスカード』を使えばちゃんと校則違反を認めるはずだ」
「なにブツブツ言ってんの? ほんとキモ……」
「……そんな事を言えるのもここまでだ。さあ、しっかりと罪を認めてもらうぞ」
そう言いながら男性教員が『ジャスティスカード』を女子生徒の目の前に出すと、女子生徒は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに無表情になりながらその目はとろんとした物になった。
「……なるほど、使うとこんな感じになるのか。さて……そのスカートは校則違反だ。それは認めるか?」
「……はい、認めます。後、昨日駅前のコンビニで万引きをして、その後に虐めてる奴からお金を巻き上げました」
「そんな事もしてたのか……それについては後で聞くしかないし、スカートの長さはしっかりと直して、昼休みに生徒指導室まで来るように。話してくれた事について聞き取りをしないといけないからな」
「……はい、わかりました」
「よし、それじゃあとりあえず行っていいぞ」
「……はい、失礼します」
女子生徒がボーッとしながら答え、フラフラとしながら歩いていく様子を登校中の生徒達が不思議そうに見る中、男性教員は驚きながら『ジャスティスカード』に視線を向けた。
「……すごいな、このカードの力は。まあ、これで俺は悪事が出来なくなったけど、それくらいたいした事じゃない。悪事を働くつもりもないし、このカードさえあれば、この学校も変えていけるはずだしな……」
男性教員は『ジャスティスカード』を見ながら微笑んでいたが、その目には妖しい輝きを宿していた。
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それでは、また次回。




