第46話 エンゲージリボン 中編
どうも、伊達幸綱です。それでは早速どうぞ。
雲一つ無い青空に太陽が輝くある朝、制服姿の少女は家の中の家族に声をかけてから外に出ると、青空を見上げて笑みを浮かべた。
「……今日も良い天気だなぁ。こんな天気なら良い出会いがあるかもしれないし、期待しておこうかな。なにせ私には強い味方がいるわけだし」
そう言うと少女は髪に結んでいる赤いリボンを触り、ニヤついた笑みを浮かべた。
「……この『エンゲージリボン』があれば私に好意を持つ相手との縁が結ばれるらしいし、もしかしたら今日の内に彼氏が出来るかもしれない。流石に誰からも好意を持たれてないなんて事は無いだろうし、一人くらいはそういう人と出会えるかもしれない。ふふ、楽しみだなぁ……」
期待に胸を膨らませながら少女が笑い、そのまま歩き始めようとしたその時だった。
「あ、あの……!」
「……え?」
突然背後から声をかけられた事で少女が驚きながらも期待をしながら背後を振り返ると、そこには緊張した様子で少女を見る学生服姿の少年がいたが、少女は少年の容姿が理想ではなかったのか少しガッカリしたような表情を浮かべてから静かに口を開いた。
「……あの、私に何か用ですか?」
「用、というか……えっと、その……」
「……用事がないならもう行っても良いですか? このままここにいても学校に遅刻するだけなので」
「あ、えっと……突然こんな事を言われても迷惑かもしれませんけど、一緒に登校させてもらっても良いですか?」
「……どうしてですか? 同じ学校の生徒みたいですけど、私、貴方とは一度も会った事も話した事も無いですよ? それなのに一緒に登校させてくれないかって……」
「で、ですよね……けど、僕は貴女と一緒に登校したり話したりしたいんです。少し前に貴女の事を校内で見た時に貴女にその……ひ、一目惚れをしたので……」
「一目惚れ……」
少年の言葉を聞いた少女は少年に対して警戒を解かずに冷たい視線を向けていたが、その口許は嬉しさで緩んでおり、不安と心配でいっぱいになっている少年を見ながらこほんと咳払いをした後、少女は微笑みながら少年に話しかけた。
「……まあ、良いですよ。一緒に登校するくらいなら
「え……ほ、本当に……!?」
「勇気を出して声をかけてくれたわけですし、それくらいなら大丈夫です。ただ、今日以降もそれが出来るかは貴方次第ですよ?」
「……わかりました。出来る限り貴女に気に入ってもらえるように頑張りますね」
少年の言葉に少女は嬉しそうな笑みを浮かべた後、二人は隣に並び、楽しそうに話をしながら学校に向けて歩き始めた。
いかがでしたでしょうか。
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それではまた次回。




