幕間
どうも、伊達幸綱です。それでは早速どうぞ。
「……ん」
窓から射し込む陽の光で目を覚ますと、ベッドの上に寝ていた『救い手』は静かに目を開け、ゆっくりと体を起こしてから両手を上げながら体を上へと伸ばした。
「んー……よく寝た。まあ、しっかりとした睡眠を取れているのはいつもの事だけど、やはりその事には感謝をしないといけないね」
『救い手』が微笑みながら独り言ちていた時、部屋のドアがコンコンとノックされ、それに対して『救い手』が答えると、ドアがゆっくりと開き、エプロンをつけた男性が中へと入ってきた。
「おはよう、今朝の目覚めはどうかな?」
「今朝もバッチリだよ、マスター。けど、ノックをしたとはいえ、年頃の女の子の部屋に普通に入ってくるのはどうなのかな?」
「はは、気を付けるよ。ところで、今から朝食を作るところだったけど、リクエストはあるかな?」
「うーん……それじゃあベーコンエッグにコーンスープ、トーストにサラダが良いかな。半熟の卵にカリカリのベーコンという組み合わせは至高だからね」
「ああ、わかった。それにしても……君がウチの近くで倒れていたところを助けてからもうだいぶ経つね。やはり、『繋ぎ手』さんとは会う気は無いんだろう?」
マスターと呼ばれた男性からの問いかけに『救い手』は静かに頷く。
「うん、会ってしまったら、ボクがこうして生まれた理由をわからずに消える事になりそうだからね。まあ、どうやら向こうは会おうとしてるようだけど、こっちには『サーチドローン』と『ステルスマント』があるから平気だよ」
「そうか」
「マスターこそあの子は喫茶店の常連なのにボクをいつまでも匿っていて良いのかな? いくら来る曜日と時間が決まっていて、それ以外の日には事前に連絡をしてから来るとはいえ、バレたらあの子から嫌われてしまうかもしれないよ?」
「たしかにその可能性はあるかもしれない。けれど、空腹と疲労、緊張と恐怖でいっぱいになっていた君を放ってはおけなかったし、あの日出会ったのはおそらく何か意味があるんだ。だから、その時はその時だと考えてるよ」
「……そう。まあ、そんなマスターだからボクもただいるんじゃなく、あの子が来ない日には変装をしてお店や家事を手伝って、それ以外の時間にはあの子のように創った道具を渡して回っているんだろうね。もっとも、ボクの力で悪意と邪念を高めた状態で渡してるから、本当に救われる相手もそうそういないんだけど」
「それなら普通に渡したら良いんじゃないかな?」
マスターの言葉に『救い手』は首を横に振る。
「いいや、そうしてその人の本能に任せた使い方を見る事でボクは人間という物を理解しようとしてるからね。しばらくはこのやり方でやらせてもらうよ」
「わかった。さて……それじゃあそろそろ朝食を作りにいくかな」
「マスター、ボクも手伝うよ。注文を聞いてもらったからには手伝うべきだからね」
「ああ、ありがとう」
「どういたしまして」
マスターの言葉に『救い手』は微笑みながら答えた後、朝食作りを手伝うためにマスターの後に続いて部屋を出て、そのままキッチンへ向けて歩き始めた。
いかがでしたでしょうか。
今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それではまた次回。




