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不可思議道具店  作者: 伊達幸綱
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第45話 ボンドバンド 前編

どうも、伊達幸綱です。それでは早速どうぞ。

 現世から隔絶された空間にある世にも不思議な道具を扱う『不可思議道具店』。その店先では『繋ぎ手』と助手の兄妹がハラハラと舞い散る紅葉を並んで眺めていた。


「……うん、今日も紅葉が綺麗だね」

「たしかにな。けど、これは掃除も大変そうだ」

「まあ、毎日葉っぱがついては落ちてきてるしね。それにしても……お姉ちゃんのそっくりさん、全然見つからないね」

「そうだな……なあ、持ってかれた道具って他には無いんだよな?」

「うん、無いよ。『コピーカメラ』と『サーチドローン』と『ステルスマント』の3つだけなのは点呼とって確認してるからね」

「そうか……」


『繋ぎ手』の返答に兄が顎に手を当てながら考え込む素振りを見せていたその時、妹は何かを見つけた様子で前方を指差した。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん、誰か来るみたいだよ」

「あ、ほんとだ。神様達じゃなさそうだし、お客さんだね」

「みたいだけど……なんか妙な気配を感じないか? それに何か持ってる上に持ってる物とあの人の間に縁の縄が見えるし……」

「あ、私も高相性のモヤが見えるよ。でも、たしかにあの道具から変な気配を感じる気がする……」

「『繋ぎ手』はどうだ?」

「……うん、私も感じるし、少なくともあれはウチの子じゃないよ」


 近づいてくる人物を『繋ぎ手』が少し警戒した様子で見る中、近づいてきた少年は三人の前で足を止め、小型のドーム状の物を持ちながら不思議そうに辺りを見回した。


「ここは……?」

「ここは世にも不思議な道具を扱う『不可思議道具店』で、俺達はここのスタッフだよ」

「世にも不思議な道具……それじゃあこれもここのなのか?」

「……いや、ウチのではないね。ただ、私を見てこの子が少し驚いたところを見るにこの子は私に見覚えがあるようだよ」

「お姉ちゃんに見覚え……え、それじゃあまさか……!?」

「……かもな。これはどこで手に入れたんだ? さっきの話しぶりだと、自分から手に入れた感じじゃないみたいだけど……」


 兄の問いかけに少年は沈痛な表情を浮かべながら頷いた。


「……この前亡くなった幼馴染みが見舞いの品だって言って置いていったんだよ。偶然見つけた店にあったって言ってたから、これについて話を聞きたいと思って歩いてたら、ここに辿り着いたんだ」

「お見舞いの……この子についてその人は何か言ってなかった?」

「人を元気にするおまじないが掛かってるって言ってたよ。たしかにコイツが病室に置かれてから、俺はもう長くないって言われてたところから完治して今も生きてられる。

けど……その代わりになったようにアイツは自分の部屋で亡くなり、少しずつ体調を崩してたみたいだった。俺は……そんな事を望んでなかったのに……! 俺が元気になったら、アイツに告白をしようとしてたのに、どうして……」

「なるほど……どこでその子がこれを手に入れたかはわからないけど、それぐらい君の事を助けたいと思ってたんだろうね。恐らくだけど、この子の力は誰かを犠牲にして他の人を助ける物で、その犠牲に選んだのが自分自身だったんだよ」

「……アイツ、本当にバカだよ。命が助かったって、アイツがいないなら意味はないのに……」


 少年が哀しそうに項垂れると、『繋ぎ手』はポケットから白いリストバンドを取り出した。


「……それなら、この子の力を借りてみても良いかもね」

「それは……リストバンドか?」

「この子は『ボンドバンド』っていう名前で、会いたいと願ってる人がいるなら、腕につけたこの子を握り込みながら願う事で、その人の魂を目の前に出現させる事が出来るよ」

「魂を……それじゃあ、アイツにまた会えるのか?!」

「ただし、呼び出せるのは使用者と絆を結んでる人だけ。まあ、君の場合は大丈夫だろうけどね。後、使う上での注意点だけど、一回に呼び出せる時間はおよそ十分程度だし、無理にそれ以上留まらせようとすると、君も魂だけの存在になって、二度と自分の体には戻れなくなる。それだけは注意してね」


『繋ぎ手』の言葉に少年は静かに頷く。


「……わかった。アイツとまた話せるなら命すら惜しくないと思ってたけど、アイツだってそれは望んでないしな。それで、それって幾らなんだ?」

「ううん、お代は良いよ。元々、この子は誰かに渡して良いって言われてた子だしね」

「……そうか、ありがとうな」

「どういたしまして。そういえば、この子は預かってて良いかな?」

「……そうだな。アイツの命を奪ったかもしれない物だけど、その道を選んだのがアイツでこれには罪はないかもしれないし、アイツの形見として傍に置いて置きたいからな。アンタ達の用事が済むまで預かっててくれ。どうやらそっちにも事情があるようだしな」

「うん、ありがとう」


 そう言いながら『繋ぎ手』が少年から『ドレインドーム』を受け取り、少年が店から出ていくと、三人の視線は『ドレインドーム』に注がれた。


「……さて、ここのじゃないけど不思議な力を持つ道具があったわけだけど、コイツとは話は出来るのか?」

「……出来るけど、なんだか話したくないみたいだね」

「そっか……」

「まあ、とりあえず御師匠様に見せてみよっか。御師匠様なら道具の力を見定める事が出来るしね」

「わかった」

「うん」


 兄妹が返事をした後、三人は店内へと戻り、そのまま『創り手』がいる工房へ向けて歩き出した。

いかがでしたでしょうか。

今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

それではまた次回。

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